身元保証、消費者保護喚起 自治体による啓発必要
2023年8月29日
総務省は8月7日、身元保証サービスに関する調査結果を公表した。利用者は身寄りのない高齢者であることが多く、契約内容が複雑で費用体系も明確でない同事業は、消費者保護の必要性が高い。調査結果を踏まえて課題提起している。
高齢化や核家族化の進行により単身世帯や独居高齢者の数は毎年右肩上がりで増加を続けている中、身元保証事業は今後も需要が高まることが予測される。消費者保護の必要性が大きい領域だが、民法の自由契約の原則などから、これらの事業を直接規律・監督する法令・制度などはない。
今回実施した全国調査(全国204の身元保証事業者を対象に実施)では、
① 契約内容の重要事項説明書を作成している事業者は少数
② 預託金を法人の代表理事の個人名義の口座で管理する例がみられた
③ 利用者の判断能力が不十分になった後も成年後見制度に移行していない例がみられた
――などの問題点が挙げられた。
① の重要事項説明書を作成している事業者はわずか21.2%にとどまっている。
③については、利用者の判断能力が不十分になり任意後見契約に移行することになる場合の、当初の財産管理等委任契約を終了する旨の規定を契約書内に設けていない事業者が44.3%に上った。
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自治体等による住民への情報提供の状況(出所:総務省)
消費者保護には、地域包括支援センターや消費者センターなどの機関を活用することが必要だが、これらの機関による啓発活動はほとんど行われていないことも明らかになった。
これらの結果を受け、「公正な契約手順の確保」「預託金の管理方法のルール化」「成年後見制度への円滑な移行」「契約履行の確認や担保は個々の事業者だけでは対応に限界」との課題喚起をしている。
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