【現場の祭りレポート】夏の風物詩、地域の輪に 盆踊りで繋がり生む
盆から8月下旬、この時期は夏のイベントを開催する介護施設も多い。新型コロナウイルス感染症が5類となった今年は、数年振りにリアル開催した施設も多かった。コロナ前と異なるのは、リモート技術を駆使したスケールの大きいイベントも行われたところだ。子どもから高齢者まで全世代が心浮き立つ夏祭りは、地域の繋がりを深める絶好の機会。今年行われた複数イベントを取り上げる。
◇131施設・2700名がオンラインで / ALSOK介護
ALSOK介護(さいたま市)は8月25日、「リモートいきいき盆踊り」を開催。4回目の開催となる同イベントでは、131施設、利用者と職員合わせて約2700名がオンライン上で繋がり、花笠音頭などを楽しんだ。利用者はレクリエーションの時間に花笠などの小道具を制作し持ち寄った。「施設によっては、法被や浴衣を着て楽しむ人もいます」(医療連携部担当次長・佐藤博美氏)
同社では、日々のケアにおいて利用者に運動習慣を身に付けてもらうことを重視してきた。施設で専門の運動トレーナーが運動教室を実施するなどしてきたという。コロナ禍で外出や面会ができないことによる利用者の健康リスクを防止するため、リモートで運動教室を開始。同時に、利用者に季節感を味わってもらうことも大切だとして、年間を通じてリモートでのイベントも拡充してきた。夏に行っているのがこの盆踊りだ。「リモートのイベントは、職員が会社全体の繋がりを意識する良い機会にもなります」
イベントには同社が運営する保育園の園児も参加。以前より介護施設と保育園のコラボを企画していたこともあり実現した。「入居者は園児の笑顔に癒され、園児にとっても貴重な経験となったと思います」と佐藤氏は語った。

法被でのぞむ入居者たち
◇昔懐かしの曲、参加促す / つしま医療福祉グループ
つしま医療福祉グループ(札幌市)の社会福祉法人日本介護事業団は8月26日、同法人が推進するCCRCの「ココルクえべつ」で北海道江別市発祥の「こども盆踊り」を開催。地元の子どもたちが浴衣を着て参加した。「昭和のくらしタイムスリップ」をコンセプトに、盆踊りは高齢者になじみある昔懐かしい曲目とし、近隣住民が参加しやすいよう工夫も凝らした。「子どもたちにも、昭和の世界観を楽しんでもらえた」と事務局の高橋有紀氏。
今年は昨年に続き2回目となるこども盆踊り。昨年は地元の住民を中心に約300名が参加した。今年も同様の規模の人々が参加した。近隣に学校が多いため小中学生や大学生などの来場も多く、まさに「多世代」が集った。「ココルクえべつのサービス付き高齢者向け住宅に住む人も家族と参加してくれた」(高橋氏)
広々とした敷地を活かし、年間を通じてイベントを多数開催している。今年は初のビアガーデンも開催し、約1000名が来場した。9月30日には「キッチンカーフェス」も開催予定だ。

ココルクえべつのイベントにはいつも多くの人が訪れる
◇格闘家、パフォーマー、多数集結 / ぐるんとびー
ぐるんとびー(神奈川県藤沢市)は8月26日、湘南大庭の憩いの場である二番構公園で「湘南大庭夏祭り2023 」を開催した。準備には県内外からボランティアスタッフが集まったという。当日は、鈴木恒夫藤沢市長も駆けつけた。

大人も子どもも盛り上がった
ラジオ体操に始まり、理学療法士による子ども向けトレーニング「スポトレ」で、子どもも大人も思い切り体を動かし楽しんだ。
地元出身の格闘家、森興二氏や田沼良介氏も参加した「水でっぽう大会」は、大いに賑わいを見せた。会場内に設けたステージでは、元マッスルミュージカルのメンバーやダブルダッチ世界チャンピオンなどが所属するチーム「PADMA」によるパフォーマンスや、格闘技チャンピオンによるデモファイトなどが行われた。子どもたちがさまざまな競技の世界チャンピオンに出会えるプログラムを揃えた。

水でっぽう大会
祭りを彩ったのは、アーティストによる楽曲演奏だ。手を触れずに演奏する楽器「テルミン」の演奏などもあった。
イベントの最後には、なじみの曲からアップテンポの曲まで、みなで盆踊りを楽しんだ。
菅原健介代表は「湘南大庭の子どもたちが元気になる街を作っていきたい」と締めた。「前例のない取り組みだったが、地域の人や各団体、企業のサポートあっての成功だと考えている」(ぐるんとびー・杉山旬氏)

日本ペイントの協賛で「インクボールアート」も