近隣のカフェで清掃などデイ利用者が有償ボランティア 千葉県船橋市で
千葉県船橋市では、介護保険サービス利用者がコンビニエンスストアなどで有償ボランティアとして活動する取り組みが行われている。高齢者のADLの維持改善、生きがいづくり、社会参画だけでなく、店舗側にとっては人手不足の解消などのさまざまなメリットがある。この取り組みに参画している介護事業者Sky Connect(同)の松浦哲也社長に話を聞いた。

Sky Connect 松浦哲也社長
複数の介護事業者が参画 週1回1時間3〜4名参加
――取り組みの概要について教えて下さい
松浦 高齢者の自立・社会参画の推進と、介護サービス事業所の差別化を図る「ななしょくプロジェクト」という取り組みです。事務局長を務める佐藤つぐみ氏が2021年に船橋市議会議員に当選したことから、船橋での取り組みが活発になりました。デイサービスなどの利用時間内にレクリエーションとして、コンビニエンスストアなどの一般の店舗などで有償ボランティアとして活動します。もちろん、市も活動を認めてくれており、その間も介護サービス提供時間として報酬を算定できます。
――仕事内容や働き方は
松浦 当社からは、市内で運営する1日型リハビリデイの利用者が、昨年9月より大手カフェチェーンの店舗に行っています。この店舗では当社以外の介護サービス事業所からも有償ボランティアを受け入れているため、当社の利用者は毎週火曜日に1時間活動しています。参加者は1回当たり3~4名です。
仕事内容は、店舗内外の清掃などが中心ですが、ときには厨房に入って試飲用のコーヒーを作ったりもします。
近年人手不足の影響などでアルバイトやパートの時給が上がる中で、店舗にとっては「アルバイトなどにやってもらうには、コスト面で効率が悪過ぎる」という業務が増えています。それを有償ボランティアが担うことで店舗にとっては効率的な運営が可能になると思います。
報酬の商品券を孫にプレゼント
――報酬はどうなっているのでしょうか
松浦 制度としては金銭で受け取ることもできるのですが、少額の金銭をやり取りするのはカフェ側の負担も大きいのではないかと考え、当社では商品券で受け取るようにしました。ボランティアに行くごとに1個スタンプが押され、10個たまるとそこのチェーン店で利用できる3000円分のクーポンがもらえます。
利用者の中には、クーポンを孫にプレゼントしている人もいて「この年になって、孫にお小遣いを渡すことができた」と非常に喜んでいます。
――会社としては、今後どのようなことを考えていますか
松浦 現在、船橋市と隣の習志野市で合計3ヵ所のデイを運営しています。今回、ななしょくプロジェクトに参画して、まだまだ働ける利用者、そして働きたいと考えている利用者が多いことを実感しました。
今後は、この取り組みとは別に、当社独自で利用者の働く先を見つけ「働けるデイ」として差別化を図っていきたいと考えています。現在、知り合いの会社と任せてもらえる仕事の内容などについて話し合いをしているところです。また、デイのスタッフ・利用者を募集するチラシのポスティングなども、外出レクリエーションなどのついでにできるのではないかと考えています。

カフェでの活動の様子