医介連携で本人主体のACP 特養での看取り率63%に 若竹大寿会

2023年9月25日

 

1989年の設立以来、横浜市を地盤に30事業所まで拡大してきた社会福祉法人若竹大寿会。多岐にわたる共同研究などの取り組みを通し、医療介護連携・地域連携に全力を注ぐ。竹田一雄理事長と、医師でもある竹田雄馬常務理事に、取り組みや今後について話を聞いた。

 

4月開設の特養「わかたけ都筑」(120床)

 

 

医師迎えセミナー 累計2000施設超参加
 

既存施設とのつながりによる「面」での支援・重層化したサービス展開で事業を発展させてきた若竹大樹会。市内での知名度向上とともに、信頼関係を要する医療機関との連携も円滑に行っている。
 

その要を担っているのが竹田常務理事だ。横浜市立大学附属病院緩和医療科の助教及び同法人の医師として、医療介護連携を牽引している。中でも毎月開催している無料のオンラインセミナーは、さまざまな医師をゲストに迎え介護施設での医療ケアについて学ぶ場としており、他法人の職員も含め各会約100名が参加。累計2000施設以上から聴講者が集まる。「医療ケアのメソッドを地域全体で共有したい」との考えから、誰もが理解できるような平易な言葉での解説に工夫を凝らす。

 

竹田一雄理事長

 

現在、外部機関と連携した共同研究も多数行っている。横浜市立大学とは

▽高齢者施設での機能評価

▽特養の嘱託医制度

▽看護師の研修システム

――などに関する研究、国立がん研究センター中央病院とは▽高齢者施設での緩和ケアの調査▽ケアマネジャーが行うACPなどを研究。

 

また、横浜市立大学附属病院をはじめとした複数の高度医療機関からの医師の派遣により、施設でも専門的な医療を提供できる体制を構築している。
 

竹田常務理事が行った全国207名の在宅医を対象としたアンケート調査では「高齢者施設でもっと緩和ケアを行うべきである」と回答した医師は88%に上る。多くの在宅医は緩和ケア普及のために必要なこととして「施設運営者の意向・経営方針の変更」「早期からの意思決定支援」「看護師・介護職のスキル向上」「診療報酬の見直し」を指摘。
 

さまざまな疾患に対応することはもとより、看取り期のみでなく早い段階から全利用者に対する「本人・家族を主体とした説明とケア」が求められる。国立がん研究センター中央病院とともに、介護職向けの緩和ケア勉強会を今年度から定期的に開始。また、地域のケアマネと早期からACPを行う取り組みを実施している。
 

「現在、特別養護老人ホームにおける看取り率は全国平均約34%。医療体制が脆弱であること、本人主体のACPになっていないことが課題と言える」と竹田常務理事。

 

 

竹田雄馬常務理事

 

こうした制度の穴を埋めるサポートプロジェクトを立ち上げ、看取りに尽力している。特養の嘱託医だけでは24時間の看取りに対応できないことから、地域の医療機関と連携。看取り目的の救急搬送をなくし、全施設で365日・24時間看取り対応可能な体制を構築している。同法人の平均看取り率は約63%。今後さらに、施設からの相談に24時間対応できる窓口やマニュアルの整備を行っていくという。
 

「介護職のストレスが低減でき、職務への姿勢が積極的になる。かながわ高齢者福祉研究大会などの学会で、現場の介護職も積極的に発信を行っている」と竹田常務理事は話す。「先進的に取り組み、発信していくという役割に存在価値がある」とし、地域全体のケアの質向上を図る。

 

150平米最上階の職員休憩室。「スタッフファースト」の理念をハードでも伝える

 

 

新卒年40名を採用「大規模特養」展開も
 

地域で盤石な連携基盤を築いているからこそ「横浜市外に拡大していく予定はない」と竹田理事長。特養運営において「『真に良い生活』の実現と、地域に向けた介護の実践への努力を惜しむべきではない」として、全施設に訪問機能を付加していく考えだ。
 

現在、年間約40名の新卒を採用。「『若竹大寿会に行けば、こういう仕事が学べる』と思ってもらえれば採用につながる。逆に言えば、これしか生き残る術はない。スタッフファーストの姿勢をしっかりと見せていく」
 

同法人は、特養・介護老人保健施設・サービス付き高齢者向け住宅・訪問介護から成る「大規模多機能型」の施設を青葉区で展開している。中長期では、こうした施設のさらなる展開も視野に入れる。「究極的には、施設に入らず地域で生きていくための核となる施設をつくっていきたい。『何かあったらあそこに頼ろう』と思ってもらえる質の良いサービスを提供し続けなければならない」と地域の未来を描く。

 

 

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