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消費減税で給付水準抑制も 「維新」政策との整合性とれるか 東洋大学 高野龍昭教授

2026年3月13日

 28日投開票の衆議院議員選挙で、自由民主党は316議席を獲得し、全体の約68%を占めた。戦後最高の議席占有率となる中、高市政権は「責任ある積極財政」を押し出す。こうした政策方針は介護分野にどのような影響を及ぼすのか。東洋大学福祉社会デザイン学部社会福祉学科の高野龍昭教授に聞いた。

 

 

東洋大学
高野龍昭教授

東洋大学 高野龍昭教授

 

 

介護DX促進へ

 

2月の衆院選を受けては、自由民主党の大勝そのものよりも、日本維新の会との連携の行方に注目すべきだろう。維新が掲げる社会保障政策は、現役世代の社会保険料の負担軽減など財政面を前面に打ち出している。一方、自民党は「責任ある積極的な財政出動」を掲げており、両者の政策が必ずしも整合するとは限らない。

 

現役世代の社会保険料の負担軽減策のために新たな公費財源が大きく投じられる可能性は高くない。つまり、社会保険料の引き下げは、介護・医療給付に充てる財源全体を抑制するメッセージとも受け取れる。政府は給付付き税額控除や、2年間の期限付きでの食料品に対する消費税減税を検討している。社会保障に関する公費財源の柱である消費税率の引き下げによる給付水準の抑制も、覚悟の上だろう。

 

焦点は、社会保険料の引き下げをどのような制度設計で実施するのかという点だ。年末に決定が見送られた介護保険の2割負担対象者の拡大が再浮上することは確実だ。さらに、住宅型有料老人ホーム等におけるケアマネジメント体制導入に伴う利用者負担割合の設定も注目される。これらの措置のみで十分な財源確保は困難だが、税収の上振れ分を含めた調整が図られるだろう。その過程で、維新の社会保障政策との整合性が問われる。

 

高市早苗首相は賃上げを重視しており、介護・医療分野でも処遇改善策は相当程度強化されるはずだ。6月の診療報酬改定は+3.09%と大幅な改定率となったが、一律引き上げではなく、処遇改善を軸とした重点配分が行われた。介護報酬改定は直前の診療報酬改定の影響を受けるとの指摘もある。仮にその傾向が踏襲されれば、次期介護報酬改定においても一定のプラス要素は見込まれる。

 

今後は、データヘルス改革やDXの一層の推進が政策の柱となるだろう。6月の介護報酬臨時改定における介護職員等処遇改善加算の要件では、訪問系事業所や居宅介護支援事業所に対し、ケアプランデータ連携システムの導入が要件化された。居住系施設等でも、生産性向上推進体制加算の算定が求められた。これらは2028年の介護情報基盤の全面稼働を見据えた布石といえる。LIFEの活用を含めた介護DXが進めば、27年介護報酬改定における制度設計の土台となる。

 

 

 

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