2026年5月20日号 11面 掲載
地域創生の担い手/湖山泰成氏

医療・福祉から地域を描く
35年前、地方の中山間地に、介護保険施設を整備した。きっかけは、東北のスキーリゾート開発に医療施設を併設してほしいとの話だった。地元の町営スキー場に大企業が出資し、第3セクターとしてリゾート開発を進めたのだ。
私も出資し、役員となった。だが、開発途中で、リゾートブームは去り、そのスキー場は再び自治体の所有に戻り、今はスキー場も無くなった。
ブームに全国の自治体、大企業が熱中し、大規模投資が行われたが、その熱が冷めるのも早かった。日本経済が停滞している30年の間、公共事業の投資も制限されていた。
今、全国で新たな大規模開発の話を聞く。サッカー場であったり、大図書館であったり、大コンサートホールであったり。しかし建築費の高騰で、事業収支計画が合わなくなり、計画は頓挫している例が多い。
リゾートブームのときは、地元自治体が企業を誘致していたと思う。今のスポーツ・文化施設誘致ブームは、地元住民の熱量が高い。ただし、それを担う民間事業者、民間企業、経営者が見えてこない。建物に税金が投入されても、年間運営費は入場料などで賄わなければ、経営が成り立たない。地元が大手企業を誘致して、継続的な計画を立てるのが理想だろう。
全国民を客としたニーズに基づく計画は危険だ。なぜならばどこの計画も、全国からの来場者を当てにしている。これでは、また過剰になってしまう。地元で成り立つ規模、収益計画からスタートすべきだ。心配なのは、35年前の失敗を知る人がいないことだ。こういうときに、老人を大切にすべきだとの教えを、思い出してほしい。
■生涯のまちづくり
街の発展と、衰退、変化、再生は、世代交代と同じだと思う。銀座は、世代が循環しており、衰えることのない都心である。ニューヨークのマンハッタンのような、高速道路で囲まれた、四方1キロメートルの整った街区である。バチカンやディズニーランドのように整っている。地方・中山間地に行けば、建物の老朽化が見える。
街の盛衰は、世代交代が可能かどうかだと気がついた。ほんどの住宅・団地開発は、50年後のことを考えていない。そのときに売却できたら、後は行政に委ねられている。地域そのものを、分譲型ではなく賃貸型で地域経営ができないと、団地の新陳代謝は難しいのかもしれない。
これからは人口減で、住宅が過剰になる。教育・医療・健康を柱とするまちづくりは、どのようなものになるのだろう。人口減の衰退期といわれる地域社会を、より豊かに安全にする地域づくり。湖山グループは地域を支える、医療福祉を目指している。

湖山泰成氏 プロフィール
1955年生まれ。三井信託銀行(当時)を経て、27歳のときに父親が副院長を務めていた銀座菊地病院の再建を果たし、医療・福祉経営の道へ。医療法人・社会福祉法人・事業会社・NPO法人合計33法人で、全国20都道府県で639ヵ所の事業所を擁する国内屈指の医療・福祉グループへと成長させる。











