デイサービスの友人 認知症の人のお金管理/女優・介護士・看護師 北原佐和子氏

私の友人のお母様は、食事が2回出て夕食まで食べて帰るデイサービスを利用している。帰りは20時頃だから、一緒に住みながら、仕事も無理なくできると友人は言う。夕食まで提供するデイがあるとは知らなかった。友人のお母様は、糖尿病を患っているが、通っているデイの食事管理のおかげで糖尿病の薬などを服薬せずとも何とか維持できているのでとても助かると言っていた。
今はデイも多種多様。リハビリテーション特化型デイ、ウクレレのような習い事を教えるデイ、娯楽型でカジノをするデイは評判を呼んだらしい。買い物やレジャーで外出意欲を高める効果が期待できるとした外出や遠足特化型デイ、またはカラオケ、麻雀、囲碁、将棋などの趣味を活かしたデイなど。私達の世代がデイを利用するであろう頃にはどのようなものがあるだろうか、楽しみでもある。
友人のお母様はデイを楽しみの1つとしている。素晴らしい。行きたがらない人がいる中で、楽しみにできるのは良いことだし、友人もほっとするところだ。
ところが、それはそれで問題が発生するらしい。
皆さん軽度認知障害や認知症をお持ちの方々で、そのデイの仲間数人で週に2、3日カラオケボックスに行き歌を満喫する。出掛けるときに、財布に5000円を入れて渡す。するとカラオケに行ったはずなのに財布の中身は減らずに5000円がそのまま入っていることがある。
お金は払ったの?と聞くと、払ったという。一緒に行った誰かがその時は払ったのだろうと、友人は理解をしている。デイ仲間とはいえ軽度認知障害や認知症をお持ちの方。そしてお金に絡む話だと……。と、大事になってからでは困ると友人は言う。
デイで誰と行動を共にしているかを確認して先方のご家族と連絡を取るなども考えたが、子どもではないしそこまでするのも、と思いケアマネジャーに相談した。すると、問題が起きる前に、カラオケに行く回数を減らす。という結論に至ったらしい。
もしも、私が担当ケアマネジャーだったらどう判断したのだろう。そしてご本人の気持ちは。元気の源となるいい話と思いつつも考えてしまった。

女優・介護士・看護師 北原佐和子氏
1964年3月19日埼玉生まれ。
1982年歌手としてデビュー。その後、映画・ドラマ・舞台を中心に活動。その傍ら、介護に興味を持ち、2005年にヘルパー2級資格を取得、福祉現場を12年余り経験。14年に介護福祉士、16年にはケアマネジャー取得。「いのちと心の朗読会」を小中学校や病院などで開催している。著書に「女優が実践した魔法の声掛け」










