2024年7月10日号 13面 掲載
通院に付き添う家族 親子が向き合う機会に/女優・介護士・看護師 北原佐和子氏

私は昨年12月から、念願のケアマネジャー業務をスタートした。認知症専門クリニックにおいては継続して看護師業務を行っている。
私の友人は福祉に携わる医療職、介護職が多い。そうした友人のほとんどが、人材の不足を嘆いている。私の勤務するクリニック、施設も同様だ。
その状況において、クリニック内では家族に協力をお願いすることもある。例えば、名前をお呼びしたら、家族とともに検査室の前までお越しいただく。
検査の日は、採血、MRI検査、心理検査と、付き添いの家族には負担を感じるほど長い待ち時間になることもある。家族によって待合室での過ごし方はさまざま。パソコンを持ち込み仕事している方、本を読んでいる方、ゲームをしている方――。何度か受診に訪れている家族は待ち時間を上手に活用してお過ごしだ。
以前、スタッフが潤沢だった時には、受診者を待合室の席まで迎えに行っていた。現在はそこまでの対応はできない状況なので、検査室まで家族に付き添いをお願いしている。もちろん、足元がおぼつかなかったり、車椅子の方だったりの場合のことで、お1人で大丈夫な方は必要ないのだが。
「認知症専門クリニックなんだから」と、「受診に付き添いで来るだけで十分、来たらクリニックのスタッフに丸投げ」状態の家族もいるが、現在はスタッフが手薄な状況であることを説明して、スムーズな受診のためにご協力いただく。
せっかく一緒に外出しているのだから、普段は離れて暮らしている方には、「久しぶりに会った今日、母は(父は)どれほど歩けるのだろう」「どれほど昔のように話ができるのだろう」「何か変わった所はあるのだろうか」――と、親としっかり向き合う時間としてもらいたい。そんな願いも実はある。
採血終了後に、「本日はどなたとお見えですか」と尋ねると受診者は、「娘(息子)がつきあってくれているのよ。忙しいのにね」と嬉しそうに答える。「娘さんと美味しいものを食べてお帰りになってくださいね」と伝えると嬉しそうな表情を返してくれる。
人材不足による家族の協力も、親子のコミュニケーションを改めて考えるチャンスになれば、そんな思いも込めて。

女優・介護士・看護師 北原佐和子氏
1964年3月19日埼玉生まれ。
1982年歌手としてデビュー。その後、映画・ドラマ・舞台を中心に活動。その傍ら、介護に興味を持ち、2005年にヘルパー2級資格を取得、福祉現場を12年余り経験。14年に介護福祉士、16年にはケアマネジャー取得。「いのちと心の朗読会」を小中学校や病院などで開催している。著書に「女優が実践した魔法の声掛け」









