福祉施設・高齢者住宅定員数ランキング2024(1位~30位)
※第769号(2024年8月21・28日)に掲載
価値創出で飛躍
毎年恒例の「福祉施設・高齢者住宅定員数ランキング」。
2024年版の顔ぶれは昨年と大きく変わらないものの、十数年振りにベネッセスタイルケアが2位から転じ、3位となった。サ高住・GHでトップの学研グループが総合でも2位に躍り出た。ランキング1位から500法人を紹介しつつ、業界の「今」を探りたい。
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QOL向上へ DX急務

SOMPO ケアの最上位ブランド「ラヴィーレグラン四谷」の外観
ランキングトップはSOMPOケア(東京都品川区)。介護付有料老人ホームを基軸に棟数を伸ばし、昨年より3棟323人を上乗せした。今後加速する人材不足への対応を見据え、ロボット・ICTの活用を進める。
続く2位は学研グループ(同品川区)。昨年より56棟2254人増加し、2位に浮上した。サービス付き高齢者向け住宅および認知症グループホーム定員数は依然トップを誇る。
3位のベネッセスタイルケア(同新宿区)も昨年より3棟324人伸ばした。睡眠センサーやトイレセンサーに加え、独自の「マジ神AI」を活用する「センシングホーム」は23年度56ホームに拡大。10月には、同社として広島県初となる住宅型有料老人ホーム「メディカルホームグランダ広島東荒神」を開設する。
M&Aは依然活発、再編続く
4~10位の顔ぶれは昨年同様だ。今年6月に日本生命グループに入った4位のニチイグループ(同千代田区)は、昨年よりGHを5棟増やした。6位の創生会グループ(福岡市)は、この1年間微増。今月、北海道で介護付とサ高住を1棟ずつ承継した。
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11位では、フジ住宅(大阪府岸和田市)がHITOWAケアサービス(東京都港区)に並んだ。昨年よりサ高住19棟699人を上乗せしており、業績も好調だ。チャーム・ケア・コーポレーション(17位、大阪市)も昨年より11棟897人増やし、順位を上げた。人材確保・定着に向け、介護職の週休3日制導入へ実証事業も開始した。
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社長交代が行われたソラスト(21位、東京都港区)では、方針を転換し「M&Aによる拡大」から「新設も含む拡充」へと舵を切る。M&Aについては案件を厳選しつつ、34.49%の株式を所有する大東建託(同)と協力し、地域に必要な機能を拡充していく考え。なお、大東建託では今年2月、子会社のケアパートナー(同品川区)が住宅型有老事業に参入。24年度中に1棟目を開設後、28年までに23棟開設する方針だ。
「ホスピス型」増加顕著に
訪問介護・看護を併設し、医療対応・看取りまで可能ないわゆる「ホスピス型住宅」の増加も著しい。「医心館」ブランドで住宅型有老を展開するアンビスホールディングス(同中央区)は順位を10上げ24位にランクイン。昨年より25棟1324人増加と開設ペースを加速する。医療法人と連携した老健のホスピス型への転換にも取り組んでおり、岐阜県関市で10月以降開設予定。地域医療の再生、地域完結型医療体制の拡充を目指す。
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介護付公募は減少傾向
第9期介護保険事業(支援)計画における特定施設の整備目標数は、圏域によるものの減少傾向にある。介護付の公募に応じて展開しつつ、住宅型やサ高住などを柔軟に展開していく事業者は増えるだろう。一方で、同一建物減算の拡大や区分支給限度基準額の引き下げに向けた議論などが進められる。ホスピス型についても、医療保険の訪問看護への同一建物減算適用がなされた。
役割分担・統一の必要 利用者目線の見直しを
しかし、類型ごとの論点よりも、本来議論すべきは「ケアプランの点検」だとする意見もある。一律に介入してしまうことで、サービスの利便性が大きく損なわれてしまっては意味がない。正すべきは「過剰なサービス利用の強制」であり、「利用者の自由な選択」ではないはずだ。
デベ各社は自立向け拡充

東急イーライフの自立向け有老「グランクレール綱島」は、東急新横浜線の駅に直結
東急イーライフデザイン(32位、同渋谷区)やミサワホームグループ(42位、同新宿区)、積水ハウス不動産グループ(67位、同)、三井不動産レジデンシャル(72位、同中央区)らハウスメーカー・デベロッパー各社は自立向けの高齢者施設・住宅を広げているようだ。今後の高齢者人口の急増に伴うニーズの多様化を踏まえ、「早めの住み替え」がようやく機能し始めてきたといえる。増え続ける空き家問題解決の一助ともなる自立向けの住まいにかかる期待は大きい。
こうした自立向けの住まいにおいて想定される入居者像からみると、サ高住よりも高価格になるケースが多い。サ高住への入居が難しい層に対しては、一般賃貸住宅の空き室を活用した「セーフティネット住宅」や「居住サポート住宅」で行政主導の下対応していく方針だ。介護保険施設や介護付などにおいても、役割分担の見直しや統一などを図るべき時が来ているのではないだろうか。
![]() 学研ホールディングス 宮原博昭社長 | 大学連携版CCRC開発へ 2位に浮上した学研HDは、2022~24年度の間にサ高住を56棟新設予定。30年には、グループ全体で1000拠点体制となる見込み。 同社ではこれまで、官民連携の複合拠点を全国9ヵ所で展開してきた。新たに開発する国立大学の公有地を活用した「大学連携版CCRC」は、第一弾の発表を目前に控える。 大学との共同事業・研究を進めることで、認知症の予防・改善や介護DX・AI、多世代が活躍するまちづくりにおける価値提供を目指す。 |
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注目の2025年最新 500位ランキング 特集記事は2025年8月20日号に掲載
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