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フィジカルAI、介護現場で実証へ エナクティックが80法人とMOU締結

2026年4月10日

「人材不足が極めて深刻な日本の介護現場をテクノロジーの力で貢献したい」

 

米スタンフォード大学を中退し、Enactic(エナクティック/東京都新宿区)で介護現場向けフィジカルAI開発に取り組む山本泰豊社長。同社は、全国80法人以上の介護事業者と、人型介護助手ロボット「Ena(イーナ)」の開発協力に関するMOU(基本合意書)を締結したとこのほど発表した。連携先には、学研ココファン、セントケア・ホールディング、さわやか倶楽部、チャーム・ケア・コーポレーション、HITOWA、ヒューマンライフケア、リビングプラットフォーム、桜十字グループ、善光会、元気村グループ、慶生会など、民間企業や社会福祉法人、医療法人が名を連ねる。

 

 

Enactic 山本泰豊社長

 

 

エナクティックは20257月の設立以来、介護現場が抱える人材不足と業務負担の課題解決を事業の柱としている。

 

Ena」は、洗濯や下膳、備品補充といった介護周辺業務を担うことを想定した人型ロボット。現在は遠隔操作による作業を中心に開発が進んでおり、2026年夏より介護施設での実証テストを開始する予定。その後、対応範囲を段階的に拡大し、自動化に向けた現場検証へと移行していく計画だ。

 

 

 

 

全国介護事業者連盟の斉藤正行理事長は、「日本では2040年代に高齢率が30%台後半に達し、現役世代が約2割減少すると。介護人材の確保が最重要課題になる」と述べた。その上で、「Enaは日本発の人型介護助手ロボットとして唯一無二の可能性を秘めたチャレンジ」と評価している。

 

 

パートナー事業者各社からも期待の声が上がっている。セントケア・ホールディングの藤澤宏充執行役員は、ロボットが業務を支えることで職員が「人へのケア」に充てる時間が増えると強調。善光会の吉村亜矢子理事は、洗濯や配膳といった日常業務をロボットが担うことで職員が利用者と向き合う時間を確保できる点に大きな可能性を感じると述べた。

 

 

介護施設との取り組みは大きく3段階で構成される。まず施設スタッフへのヒアリングにより、清掃や洗濯など負担の大きい作業を洗い出す。次にエンジニアが施設を訪問し、通路幅や段差、収納位置といった設備環境を詳細に調査・分析する。得られた知見をロボットの設計・開発へと反映させていく流れだ。

 

 

同社は引き続き、開発に協力するパートナー介護事業者を募集している。2026年夏の実証テスト開始を目指し、現場の知見をより広く開発へ反映させていく方針だ。ロボットと人が協働する介護現場の実現に向けた取り組みは、今後さらに本格化する。

 

 

 

 

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