堂本食品(広島市)新田英司常務

2014年11月18日

800種の惣菜やレトルト食品などを製造・販売している堂本食品(広島市)は、「思いやり堂本便シリーズ」として高齢者向け食品にも注力しており、現在介護施設や病院などで導入が進んでいる。開発経緯と今後の方針について、新田英司常務取締役に話を聞いた。

 

 

──開発経緯は

新田 5年程前から、主に病院に向けて塩分を抑えたやわらか食の提供を開始しました。入院患者は多少味付けが物足りないと感じても「病院食だから仕方がない」と我慢して食べていましたが、介護施設に導入するようになった際「常食と同じ味付けのやわらか食を作ってほしい」という強い要望があったため、高齢者が食べやすく、おいしい惣菜として「思いやり堂本便シリーズ」を開発しました。

 

 

──商品の特徴は

新田 食べやすさに配慮した食品の指標であるユニバーサルデザインフードに適合している「ソフトな噛み心地」と、健常者も満足できるおいしさの「やさしいおいしさ」の2タイプがあります。固い金平ごぼうは噛み砕きやすい斜めスライスのカットにしたほか、保存技術を組み合わせた独自の製法により、弱くなった歯や入れ歯でも噛み砕きやすく、やわらかく仕上がっています。常温または湯銭ですぐに食べられるため、調理の手間もないほか、賞味期間は180日と約半年間おいしさを保つため、買い置きにも便利です。余りが出ないよう、業務用は1キログラムと250グラム、個人用は80グラムを用意しています。

 

 

──パッケージにもこだわっている

新田 業務用食品の多くは長持ちさせるため、アルミパウチのパッケージを使用する事が多いですが、思いやり堂本便はパッケージを透明にすることで、見た目にもおいしく仕上がっています。また、デザインは長寿の象徴である鶴と亀を日本古来の切り絵で創作しており、第13回ひろしまグッドデザイン賞も受賞しています。咀嚼力、味覚力、嚥下力、排泄力など、老化による弱りを補う商品設計を心がけているため、商品名に「思いやり」を付けました。力を入れずにまっすぐ切ることができ、尚且つ切り口で手を切らない「ユニバーサルデザインノッチ」を採用し、目には見えないところにも「思いやり」を込めています。

 

 

──ラインナップも年々拡充している

新田 味を変えることなく、鉄やカルシウムなど食材が元々持っている栄養素を強化した商品や、塩分1%以下の塩分制限対応惣菜の開発を進めています。また、80グラムの個人向け惣菜は現在スーパーなどでの陳列も始めており、ゆくゆくはドラッグストアーやコンビニ、通販などでも販売するべく、販売経路の確保も進めています。こちらは現在6アイテムですが、1年以内にあと6アイテムほど増やし、飽きのこないような商品にしていきます。2020年までにメディカル部門の年間売上10億円を、会社全体としては100億円を目指しています。

 

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