医療法人社団仁井谷医院(広島県呉市)仁井谷邦彦理事長

2015年2月2日

医療法人社団仁井谷医院(広島県呉市)は昨年4月、呉市内にサービス付き高齢者向け住宅(以下・サ付き住宅)と有床診療所、通所リハビリテーションなどを併設した複合施設を開設。医療体制やリハビリテーションを武器にサ付き住宅の入居率は既に約9割に達している。

 

急性期から慢性期、介護サービスまで網羅した9階建ての医療ビルを建設。施工は積水ハウスが手掛けた。診療所は2階が整形外科、皮膚科、歯科、手術室、レントゲン室、3階がリハビリテーション室、CT室、4階が19床の病床で構成。約10名のリハビリスタッフがリハビリテーションを提供している。サ付き住宅は6階から上層階を占める。

 

「仁井谷医院は永年地域医療に携わってきたが、医療と介護が連携したサービスの必要性を感じ、新たに『にいたにクリニック』とサ付き住宅を立ち上げた」(仁井谷邦彦理事長)。

 

サ付き住宅の名称は「アネモネ」。12月末時点で全35室中31室が埋まった。自立、要支援者から要介護5まで入居している。9階のみキッチン、浴室、洗面台、トイレなどを備えた25~29平米の居室。6~8階の居室はキッチンや浴室を設けず19平米前後の面積。

 

当初の構想では広めの居室の9階は自立者向け、6~8階は要介護者向けとしていたが、想定より自立・要支援者から重度者まで入居希望者の幅が広く、計画を変更。現在9階の一部はターミナル期の患者が家族と入居している。平均要介護度は3前後。開設8ヵ月ほどで既に2人の看取りも経験している。

 

法人グループの訪問看護ステーション、訪問介護事業所が入居者にサービスを提供。現在、訪問看護は入居者の3分の2、訪問介護はほぼすべての入居者が利用している。

 

クリニックが提供するリハビリテーションとも連携。通所リハは入居者の3分の2、通院リハは3分の1ほどが利用している。

 

食事は施設内で調理する委託形式を採用。基本、各フロアの食堂で提供している。浴室は個浴、リフト型、機械浴を設置。利用者の状態や要望に合わせ使い分けている。

 

スタッフは3名が夜間も含めローテーションで勤務し、コンシェルジュとしての役割をこなす。緊急時にはクリニック内の常勤看護師が対応する。

 

月額料金は浴室・キッチンなしのタイプが、家賃6万8000円、共益費1万5000円、生活サポート費3万5000円、食費6万円で合計17万8000円。キッチン・浴室付タイプが家賃7万2000円で合計18万2000円。敷金はいずれも家賃3ヵ月分。

 

理事長の息子で「にいたにクリニック」院長の仁井谷学氏の思いも実現。学氏が総合病院で勤務していた頃、在宅復帰できない患者を目の当たりにしてきた。基幹病院で経験した手術・リハビリテーションを武器に、医療と介護、住宅の連携を果たしている。近隣の総合病院や回復期病院の地域連携室から在宅復帰を望む患者を積極的に受け入れている。

 

診療所が救急指定医療機関であるため、救急患者が短期でサ付き住宅に入居することも想定。「医療・リハビリ体制を売りに短期・長期入居いずれにも対応した柔軟なサービスを提供している」(仁井谷理事長)。

 

短期入居は1ヵ月、1週間、1日のメニューで、それぞれ賃料、生活サポート費、寝具リース、食費などの料金体系を設けている。

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