MED AGRI CARE(茨城県つくばみらい市)伊藤俊一郎代表

2015年4月27日

茨城県つくばみらい市にクリニックと有料老人ホームを一体開発したプロジェクトが立ち上がる。手掛けたのは筑波大学医学部を卒業し、同大学で心臓血管外科専門医として勤務していた伊藤俊一郎氏。9月オープンに向け準備を進める伊藤氏に事業のコンセプトを聞いた。

 

 

――事業の全体概要は

「つくばみらい市に約5000平米の敷地を取得し、住宅型有料老人ホーム50室と有床クリニックを併設する。建物はログハウスで建築。中庭や植栽、池などを設け、自然豊かな環境で生活してもらうことができる。平屋でホームとクリニックの動線も確保する」

 

 

――MED AGRI CAREという名称に込めたコンセプトは

MEDはホスピタリティ、AGRIはコミュニティ、CAREはタッチポリシーの意味。ホスピタリティでは最期まで責任を持って寄り添うサービスを実践。病院で失われつつあるホスピタリティを新たな環境で提供作物を提供することで地産地消を図るとともに、林業では茨城県大子町を中心とした国産杉材を100%使用。さらに私の故郷である新潟産の錦鯉を中庭に設けた池に放ち、地域との交流も図るなど、水産業促進の役目も果たす」

 

 

――クリニックの特色は

「外来とともに訪問診療・訪問看護を提供。24時間365日対応する体制を整え、通所リハも設ける。まず6月に診療を開始し、新施設の開設に合わせ移転。新施設では入院(19)・リハビリ体制も完備する。看護師は6月時点の4名体制から9月オープン時には8名体制に増員する」

 

「茨城県は人口当たり医師数が日本で2番目に少なく、在宅療養支援診療所件数も全国平均の半分ほど。またつくばみらい市には病床を有す医療機関がなく在支診も非常に少ない。そうした場所で地域医療に貢献したいと考えている」

 

 

――ホームの特色は

「国産ログハウスメーカーによるデザイナーズ有料老人ホームを標榜。居室面積は14平米ほど。入居者は医療依存度の高い高齢者を中心に想定。要介護状態に合わせ、機械浴、個浴をそれぞれ設ける。食事は管理栄養士、調理師を配置し、地元の食材を主体に自社調理する。食堂と地域交流室を隣にすることで、地域住民との交流も図りやすくした。介護サービスは建築基準法の制限があるため、別の地域に設けた事業所から提供。開設時にはヘルパーが約10名在籍する予定」

 

 

――事業化のきっかけは

「心臓外科医の頃、在院日数短縮を図る事情で、病院から早期の退院を余儀なくされるケースを目の当たりにしてきた。一方、自宅で最期を迎えたいと思っている人が多い反面、病院で亡くなる方の比率が圧倒的に高いのが現状。医療の最前線で感じたことはホスピタリティの欠如。医師として何ができるかを追求し、その結果、勤務医を辞めて今回の事業を構想した」

 

「総工費は土地取得費も含め約8億円。政策金融公庫をメインに融資を受けた。つなぎ融資や運転資金は常陽銀行がメイン。また筑波大学発ベンチャー企業に認定していただいた」

 

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