“共生”に向け介護DXを 自民党議連で要望 日本ケアテック協会・日本介護支援専門員協会

2022年7月13日

一般社団法人日本ケアテック協会(東京都港区)と一般社団法人日本介護支援専門員協会(同千代田区)610日、第4回自民党ケアテック活用推進議員連盟会議で介護DXの必要性やその施策を取りまとめ要望を提出。デジタル介護の推進を訴えた。

 

業務時間約3割が事務 ICTで負担軽減必須

 

同会議は、介護・医療のDX化推進を目的に結成された議員連盟が実施している。業界団体や介護DXを推進している法人の代表を招き、ヒアリングを行っている。

 

日本ケアテック協会の鹿野佑介代表理事は、介護業界におけるDX化は自立支援、重度化防止、利用者のQOL向上だけに留まらず、広く国民のウェルビーイング向上に資するものである、との認識を示した。地域包括ケアの理念に基づき、デジタル活用を前提とした「スマート共生社会」を目指していくべきであると訴えた。

 

その実現に向けた課題として、

▽介護事業者の投資余力不足

▽ケアテック市場の未整備

ICT活用やテクノロジー実装を困難にする既存制度

▽補助金スキームと実情との乖離

▽機能・要件が統一されていないことによる機器間の連携困難

があるとした。

 

当日の様子。介護DX 化が社会全体に恩恵をもたらすと強調し、そのためにICT推進の支援が必要であると訴えた。

 

スマート共生社会の実現に向けて、次の改革をセットで行う「介護DX」補助事業の創設を求めた。

 

①業務プロセス改革

・在宅系介護事業者の業務標準化と効率化支援施策の充実

②ケアテック認証制度()の創設

・第三者機関による認証によるシステムなどの標準化

・認証された機器における補助金適用/保険適用

③ケアテック人材の育成

・ケアテックに知見が深く、業務改革をけん引する資格創設による人材の醸成

・当該資格保有者に対する報酬上の評価

 

日本介護支援専門員協会の柴口里則会長は、ケアマネジメント業務において、多職種間のスムーズな連携確保は欠かせないと語る。しかし、情報共有には電話、FAX、連絡ノートといったアナログ的手法が主流で、ケアマネジャーの事務負担が大きいと主張。

 

1ヵ月当たりの労働時間(172.5時間)の内、約3(51.1時間)は書類作成、事務作業に充てられている。これら作業がICTの活用で軽減されれば、より専門性を発揮できるとした。

 

ICT化には資金が必要だが、経営は厳しい状態にある。厚生労働省の「令和2年度介護事業経営実態調査」では、居宅介護支援事業所の収支差率はマイナス1.9%となっている。柴口会長は、「新しい技術の導入や継続的な設備投資により、効果的な高齢者への支援が継続的に実施可能にすることが必要」として、ICT化にかかる費用の支援などを求めた。

 

議連の最高顧問、甘利明衆議院議員は「介護・医療の課題に対しマンパワーが最大となるようどのようにテクノロジーを活用していくかが重要だ」と語った。また、「課題はブルーオーシャンでもあり、チャンスでもある」との認識を示し、介護DXが社会にもたらす効果に期待を寄せた。

 

 

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