【トップインタビュー】デベ関連事業強化 AI活用し新サービスも / チャーム・ケア・コーポレーション 下村隆彦社長
首都圏、近畿圏で有料老人ホームなどを運営するチャーム・ケア・コーポレーション(大阪本社:大阪市)。2022年5月9日の開示資料では、22年6月期で連結売上高約300億円(21年同期比約70億円増)、累計居室数は5203室(同914室増)となる見込みだ。下村隆彦社長は現在の局面を、「成長期に入った」と語る。
同社の今後の成長戦略についてインタビューした。

チャーム・ケア・コーポレーション
下村隆彦社長
中長期で連結売上1000億円
――業績は順調に成長を遂げている。
下村 当社は2005年に奈良県大和郡山市で第1棟目の施設を開設。関西圏で事業を拡大し14年には首都圏に進出。18年に東証1部に上場し、今年4月には東証プライムへと移行した。現在の指標目標は、経常利益を対前年度比30%増、売上を同20%増、売上高経常利益率10%。23年6月期売上は400億円、24年6月期には500億円を見込んでいる。
23年8月現在、ホーム数は首都圏、近畿圏合わせて78ホームで、駅から徒歩圏内の都市部を中心にドミナントを構築している。既存ホームの入居率は平均約94%と高い水準を維持。22年6月期には8ホームを新規開設しており、年間10ホーム前後の開設を継続しつつ、ホーム数を23年6月期は85ホーム、24年6月期には100ホーム以上を目指す。
従業員数はパート、派遣社員などを含めて約3000名。職員の教育体制も強化している。新卒、中途も合わせて教育・研修を行う「チャームケアキャリアセンター」を近畿圏では三宮、千里丘、首都圏では深沢、本郷に設置。eラーニングも導入し、オンライン研修、集合研修、eラーニングのそれぞれの長所を活かし教育を行っている。
――展開するホームの特徴は。
下村 中高価格帯中心に付加価値の高いホームを展開している。
今年11月に東京都品川区に開設する「チャームプレミアグラン御殿山弐番館」は、当社の中でも最上級の設備を備えたラグジュアリーなホーム。リラクゼーションルームを設置しており、そこでは自然のそよ風を体感できる設備、小川のせせらぎが感じられる音響設備を備えている。加えて100インチの大画面テレビを備え付けた。
浴室にはサイエンス社の「ミラバス」およびシャワーヘッド「ミラブルZERO」を導入。微細な気泡を発生させることで、石鹸不要で汚れを洗い流すことができる。
また、感染症対策としてホーム入口横にクリーンルームを設けた。その小部屋では吹き付ける空気の力で体に付着した菌や汚れをホームに持ち込まないよう飛ばすことができる。
――中長期の目標は「連結売上高1000億円以上」だが、どのように実現するか。
下村 介護事業だけで目標達成は難しい。▽不動産関連事業の強化▽AIをはじめ新たな分野の事業の創出▽M&A推進、これらによって「複合事業化」を実現させることで目標を達成する。
不動産関連事業の一環で、ヘルスケア・デベロップメント事業において当社が土地を購入、建物を建設した上で事業会社や不動産投資信託などへ物件売却していく。
現在、15物件を自社所有しているが、今年2月に「ルナハート 千里 丘の街」、3月に「花咲新町」「花咲八尾」の土地建物を売却済み。その他の物件も売却に向けて交渉している。また、本業に伴って得られる不動産情報を活かし、不動産の取得、開発、売却、仲介、賃貸なども行っていく。
続けて新たな分野の事業の創出では、AI対話技術を持つウェルヴィル社への出資を行った。同社の技術を活かし、ロボットやアバターとの会話を通じて寂しさを癒し、医療機関との連携で健康情報の把握、認知症予防、安否確認といったサービスを提供する。
合わせて組織を改編しており、新事業やM&Aの立案をする事業構想室、デジタル活用による業務効率化とAI事業を担当するDX推進室を新設した。
また、20年に交わしたシップヘルスケアホールディングスとの事業連携も拡充し、シナジーによって企業価値の向上を目指す。
――今後、チャーム・ケア・コーポレーションにおける介護事業の比重は小さくなっていくのか。
下村 500億円の売上を達成した時点で、介護の割合は6~7割、その他が3~4割、となっていることを予想している。
現在の局面は「成長期に入った」と認識している。「介護もそれ以外もすごい」と言われるような企業にしたい。