介護者のメンタルケア 看取り行う施設で導入 介護者メンタルケア協会
2015年に設立された介護者メンタルケア協会(東京都港区)は、家族の介護や職員の介護離職で悩む法人担当者、介護・医療・福祉の現場で働く人に向けて、悩みに応じた講演や研修・ワークショップを行っている。

橋中今日子代表
同協会は17年から、看取りを行う入居系介護施設からの依頼で、研修やワークショップを実施している。
入居施設では看取りに関し、自分は何もできなかったと自責の念に駆られる職員、自分が関与して入居者が亡くなってしまうことを恐れて離職する人などがいる。また、重度の医療ケアが必要な入居者への対応などにより、メンタルを病む職員もいるという。そのような職員に対して、コミュニケーション技術とメンタルケアに主軸をおいた研修やワークショップを実施する。
研修依頼は、これから看取りに対応する施設が多い。
同協会では、介護職から相談を受けた際に、必要なことを聞くための「EMCO(エムコ)カード」を制作した。エンパシー(共感)コミュニケーションが名前の由来で、180枚のカード( 72枚の感情カードと108枚のニーズカード)から構成。カードを用いて、①今どんな気持ちか(現在地)②どうしたいのか(目的地)③そのために何が必要か(ニーズ)必要な行動は何か――と感情を見える化・整理する。

EMCOカード
使用者の感想は、「今の自分の気持ちが分かった」「イライラが減った」「心に余裕が生まれた」「上司に相談できるようになった」などがあり、表面化していない感情にアクセスできる。
EMCOカードは、セルフコーチングや面談などで使用する。家族介護者、ケアマネジャー、介護職員、看護師、看護学校の教諭などが購入。同協会HPで17年から販売しており、これまでに800〜900個販売した。2時間のセルフケア体験ワークショップ付で価格は1万3800円(税・送料込)。