2024年2月7日号 1面 掲載

24年介護報酬改定 点数公表 訪問介護、定期巡回等で基本報酬減算

2024年1月22日

訪問介護、基本報酬引下げ

処遇改善、最大24.5%で設定

 

厚生労働省は1月22日の社会保障審議会介護給付費分科会で、2024年度介護報酬改定における基本報酬の点数、各種加算の点数や算定要件について詳細を告示した。24年度改定においては、訪問介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護の基本報酬が減算となる。これらサービスにおいては処遇改善加算が大きく引き上げられるが、経営への影響は甚大とする反発の声が大きい。

 

 

委員「閉鎖多い中、遺憾」 政府「加算取得を応援」

 

訪問介護の点数は図の通り。定期巡回では、例えば要介護1で5697単位から5446単位に、要介護5で25829単位から24692単位に減算となる。夜間対応型では、定額の「基本夜間対応型訪問介護費」が1025単位から989単位に引き下げられた。

 

 

 

 

一方でこれら3サービスでは、処遇改善加算を一本化した「介護職員等処遇改善加算(Ⅰ~Ⅳ)」において加算率を多種別よりも高く設定。Ⅳの14.5%から、Ⅰでは最大24.5%を取得でき、Ⅰ~Ⅳすべてにおいて現行の加算に相当する加算率よりも2.1ポイントアップとなる。

 

 

 

 

人材不足の深刻度が極めて高い訪問介護の基本報酬が引き下げられたことについては、委員から「小規模事業所では閉鎖・廃止が非常に多い中での基本報酬引き下げは遺憾」「加算よりも基本報酬アップが望まれている」といった意見が多く挙がった。厚労省老健局認知症施策・地域介護推進課の和田幸典課長は「訪問介護の処遇改善加算を最も高く設定した。小規模事業者が同加算を取得できるよう応援した上で、看取りや認知症関連加算、特定事業所加算の充実などと併せて対応する」としている。

 

訪問介護では、同一建物減算の見直しも行われる。従来の減算幅に加え、新たに12%減算となる要件が新設された。前6ヵ月間のサービス提供総数のうち、事業所と同一または隣接敷地内の居住者への提供割合が9割以上を占める場合に12%減算となる。

 

また24年度改定より、居宅介護支援事業所に対する同一建物減算が新設される。居宅と同一または隣接敷地内の建物に居住する利用者に対しケアマネジメントを行った場合、所定単位数より5%の減算となる。

 

ほか、医療対応の充実やテクノロジーの活用を要件にした新たな加算も新設される。主な新加算・新区分の単位数は次の通り。

 

 

 

 

▽専門管理加算(250単位/月) 

 対象訪問看護、看護小規模多機能型居宅介護

▽協力医療機関連携加算(要件を満たす特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院で100単位/月、25年度以降50単位/月、それ以外は5単位/月) 

 対象特養、老健、グループホーム、特定施設、介護医療院

▽高齢者施設等感染対策向上加算((Ⅰ)10単位/月、(Ⅱ)5単位/月)対象:特定施設、GH、特養、老健など▽認知症チームケア推進加算((Ⅰ)150単位/月、(Ⅱ)120単位/月)

 対象:GH、特養、老健、介護医療院

▽リハビリテーションマネジメント加算(ハ)(同意日の属する月から6月以内は793単位/月、6月超の場合は473単位/月)

 対象通所リハビリテーション

▽口腔連携強化加算(50単位/回)

 対象訪問介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、短期入所生活介護、定期巡回など

▽退所時栄養情報連携加算(70単位/回)

 対象特養、老健、介護医療院など

▽生産性向上推進体制加算((Ⅰ)100単位/月、(Ⅱ)10単位/月)

 対象短期入所系、居住系、多機能系、施設系サービス。

 

 

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経営に工夫を 人材不足に政府の意向

 

東洋大学 福祉社会デザイン学部 社会福祉学科
高野龍昭教授

今回の改定は、全体的に「穏やかなプラス改定」となったと受けとめて良い。しかし、その中で大きな議論となっているのは訪問介護、夜間対応型訪問介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の基本報酬が2~4%ほどのマイナスとなった点である。

 

これには、昨秋発表された「介護事業経営実態調査」で訪問介護の収支差率がプラス7.8%と示されたことが大きく影響している。この調査は介護報酬改定において最も重視されるものであり、政府はその結果を反映せざるを得なかったのであろう。

 

一方、新たな処遇改善加算は訪問介護などに手厚い設定となった。とりわけ訪問介護員の人材不足が深刻なことを、この加算で改善しようという政府の意向がうかがえる。

 

訪問介護事業所は、この処遇改善加算をしっかりと算定できるように体制を整え、要件などが変更された特定事業所加算を積極的に取得するなど、運営・経営に工夫を凝らす必要がある。

 

 

 

マロー・サウンズ・カンパニー
田中紘太社長

ヘルパーが足りないとこれだけ言われていながら、基本報酬を引き下げることには大変驚いた。とはいえ処遇改善加算を高く設定しており、事業所の収益を減らし、職員の給与を上げる方策に出たのだろう。東京都では勤続5年未満の介護職員に2万円、勤続6年以上の介護職員に1万円を支給するため、処遇改善加算と併せると職員には大幅なプラスに働く。今回の減算では経営のみダメージを受ける形となったが、特定事業所加算の要件や看取り期の評価、認知症専門ケア加算の見直しなどを含め、メリハリがあると言えるかもしれない。

 

訪問介護でも同一建物減算の強化が行われたが、既存の10%と15%の間の12%減算の創設は、どこまで効果があるのか疑問だ。同一建物減算の強化に一定の抑止力はあると思われるが、現在一番の争点はホスピス型と言われるサ高住等が、医療保険の訪問看護で医療費をかなり使っていること。診療報酬改定でそこを抑制できるかがポイントだ。

 

 

 

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