ICT導入支援 藤沢市で始動 社会福祉法人善光会が受託
社会福祉法人善光会(東京都大田区)のサンタフェ総合研究所(同)は5月、神奈川県藤沢市が実施する22年度の「先進的介護実証事業」を受託。市内の特別養護老人ホーム1施設を対象にICT導入支援を行い、そこでの効果検証を踏まえ、生産性向上のためのパッケージモデルを構築。市内の介護施設に展開していくことを目指す。

宮本隆史理事
パッケージモデルを構築
藤沢市は22年度より、介護現場での業務改善、生産性向上への取り組みを本格化すべく「先進的介護実証事業」を開始。予算は上限で165万円となっている。
具体的な事業内容は▽現地にスタッフが赴き業務分析▽導入する介護機器の選定▽数ヵ月間の効果検証▽「見守り」「食事」「入浴」「記録」などの領域からモジュールを設定、パッケージを構築・完成など。公募により選ばれた善光会が、これらを1年間で行っていく。
本事業の特徴は、ICT活用、オペレーション改善、人事改革などを同時に実施することを想定し、パッケージ化まで行うところにある。
藤沢市では、ICT活用が現場でなかなか普及しない現状がある。「パッケージ化することで、市内の他施設にICT活用が広がりやすいと考えた」(藤沢市福祉部介護保険課・藤原葉瑠氏)
善光会は、現場でのICT導入を積極的に行ってきたほか、サンタフェ総合研究所でのICT導入支援、業務改善事業にも注力してきた。今回のようなパッケージ化の取り組みは初だという。「1つひとつの特養にコンサルティングに入るのではリソースに限界がある。地域毎に各施設共通の戦略を立て、アプローチしていく必要があると感じていた」(サンタフェ総合研究所・滑川永研究員)。

サンタフェ総合研究所
滑川永研究員
地域毎に戦略を立て効果実証を行っていくには自治体とパートナーを組む必要があるとして、本事業への応募に至った。藤沢市ほどの規模の自治体とパートナー関係で導入支援事業を行っていくのも、同法人にとって初めてのことだ。
藤沢市でも、市職員が調査のため現場に赴くなど、課題を直接把握しながら事業を進めていく考え。 「現場のリアルな状況をデータとして蓄積し、長期的な視点で生産性向上の取り組みを進めていきたい」(藤原氏)。同時に、行政側の情報提供などを通じて、善光会をサポートしていく。

サンタフェガーデンヒルズ