フィリピン拠点に育成、特定技能人材日本に 10月から施設募集
外国人人材の育成や紹介サービスを行うICHIGOICHIECONSULTING,INC.(フィリピン、広島県福山市)は10月より、特定技能人材の受け入れ施設を募集している。フィリピンと日本双方に拠点を置き、フィリピン人に特化した人材事業を行う三浦一生社長に事業の特徴や今後の展開を聞いた。

CHIGOICHIECONSULTING,INC.
三浦一生社長
送出機関76と提携 年内30施設に紹介
――会社設立の経緯は
三浦 当社の出資元である常石グループ(同)は、30年前にフィリピンのセブ島で造船事業を開始した。現在、現地では1万人以上のフィリピン人を雇用している。福山市で展開する造船業でも、約450名のフィリピン人材が活躍している。自社でのフィリピン人雇用で培った送り出しのプロセスやスキームを活かした新規事業を開始すべきと考え、当社を設立した。常石グループはセブに街を作った実績もあり、同地での信頼を得ている。こうした現地での信頼の高さも外国人人材事業に活かしていけると考えた。
フィリピン人が海外で就労するには、フィリピン海外雇用庁POEAの認可を受けた送り出し機関を経由する必要があるが、当社ではPOEAの認定を受けた76の送り出し機関と提携し、フィリピン全土から優秀な人材を集めている。日本では介護分野の特定技能人材の紹介がメイン。
――現地での介護人材の教育事業について
三浦 フィリピンの教育庁の認定を受けた介護人材養成校と提携し、特定技能資格取得のための教育カリキュラムの提供や講師の教育を行っている。テスト形式を重視したプログラムで、特定技能試験の合格率は約98%となっている。
それに加え、合格後に日本施設から内定を受けた人材が入国するまでの約4ヵ月間を利用し、教育カリキュラムも提供している。これは日本語のコミュニケーション、接遇、さらに日本についての理解を深めることが目的。当社が構築している実務者研修修了レベルまでの教育カリキュラムから一部抜粋し作った、オリジナルだ。
重点を置くのは、日本独特の介護観を理解してもらうこと。国民の95%がキリスト教徒のフィリピンでは、「何でもやってあげる介護」が主流。日本における「自立支援」の考え方を伝えることを意識している。
――ほか、教育事業での特徴は
三浦 育成している候補生のうち介護のバックグラウンドがない生徒には、特定技能の試験対策カリキュラムに追加する形で、フィリピンの技術教育技能教育庁が提供する、海外で就労する介護士のための専門プログラムである「NC2ケアギバー」を取得してもらっている。全768時間で介護、障害、また家事・育児についても学ぶ。日本でフィリピン人の雇用が進んでほしいという思いから、手厚い育成体制を整備した。
――フィリピン人材の魅力は
三浦 フィリピンの平均年齢は23歳。人口ピラミッドで見ても、若年層のボリュームが厚く、長期におよぶ安定的な人材の供給が可能だ。また、電子マネーの普及率が高いなど、ITリテラシーが高い人が多い。介護現場のDX化に際して、日本人が苦手な部分を補完できると考えている。海外で就労する人が多い国であり、意欲的な人材が多いと感じる。
――今後の展開について
三浦 現在、当社では現地で100名強の特定技能人材を養成しており、年内30施設、60名の人材を日本に紹介したいと考えている。この30施設については、通常の紹介料30万円、教育費用800ドル、研修費用約20万円を無料。代わりとして、施設を開放し当社が紹介した人材の活躍の様子を他施設に向け公開してもらう形でプロモーションを進めている。
10月12日から11月31日の期間に、20施設を募集予定。福岡、広島、岡山、兵庫、大阪、愛知、東京、千葉など、帯状に受け入れ施設を広げたい。現地での特定技能人材の養成人数も増やしていく。来年には3 0 0名、再来年には1000名の養成を目指す考えだ。

意欲的な人が多いフィリピンの人材