ベトナムにクリニック開設 医療ICT化貢献、日本品質で差別化 医療法人元気会

2023年3月23日

 

 

医療法人元気会わかさクリニック(埼玉県所沢市)は昨年12月、同法人関連法人および医療DX事業を展開するメドリンク(東京都文京区)と連携し、ベトナムにクリニックを開設。同法人で海外でのクリニック開設は初となる。電子カルテなどのデジタル技術を活用、現地の医療の質向上に貢献していく考え。

 

 

医療法人元気会
わかさクリニック
間嶋崇理事長

 

 

 

子ども人口23% ワクチン需要高

 

クリニック「東京ワクチンセンター」はハノイ市のイオンモール内に開設。「買い物と一緒に立ち寄れるクリニックを目指した」と間嶋崇理事長は話す。質の担保されたワクチン提供に加えて、日系企業「イオン」のショッピングモール内での出店、日本独自の「おもてなし」で、きめ細かなサービスを「日本クオリティー」で提供し差別化を図る。

 

同クリニックでは主にワクチン接種を専門に行っていくものとなっている。ベトナムの人口構造はピラミッド型で、平均年齢は約30歳と若く、疾患を理由に医療機関にかかる人は比較的少ない。

一方、15歳未満の人口が約23%でワクチン接種を必要とする人は多く、そのニーズに応えていくこととなった。

 

 

連携するメドリンクは、ベトナム国内でクリニック向けのクラウド型診療支援システム「MEDi」を提供している。クリニックではMEDiを活用することで予約から決済までをシステム上で対応可能にし、利用者の利便性の向上を図るとともにスタッフの負担を軽減する。

 

また電子カルテに集約された利用者個人のワクチン接種履歴を活用。必要な時期に必要な種類のワクチン接種を提案するといった仕組みの構築も構想している。

 

 

メドリンク代表取締役CEO安部一真氏(左)と間嶋崇理事長

 

 

 

同法人ではベトナムでの活用を通じ、現地社会の抱える医療課題の解消も目指すという。

 

具体的な課題として、ベトナムではクリニックから、小・中病院、大病院へと順に紹介する「リファラルシステム」が適切に機能せず、大病院に患者が集中していることが挙げられる。国民は若い人が多いこともあり、予防、健康管理のために医療機関にかかるという意識が低い。

 

「体調が悪い時、大半の人は薬局で薬を買って済ます。大病院に来るのは本当に困った時で、疾患が悪化しているケースも少なくない」と、本郷久利経営企画部長は現地の状況について語る。

 

 

同法人ではリファラルシステムが適切に機能しない理由の1 つを、ICT化の遅れにより病院間の連携が取れていないことにあると見ている。そこで現地医療機関と連携しつつ、電子カルテなどICTでそれらの課題の解消も図っていく意向だ。

 

 

今後も、ショッピングモール内を中心に、今回と同様のモデルのクリニックを各地に開設していく方針。「日本と医療文化の差が浮き彫りになっている。違いを見極めつつサービスを提供していく」(間嶋理事長)。またベトナムに続く海外展開を見据え、ASEAN諸国の動向にも注目していく。

 

 

クリニック外観

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