大規模でも3割が赤字 社会福祉法人の実態明らかに WAM

2023年3月24日

独立行政法人福祉医療機構(東京都港区)は2021年度の社会福祉法人の経営状況等について分析した。費用増加が収益増加を上回り、サービス活動増減差額率は2.5%と前年度より0.6ポイント低下。赤字法人割合は31.3%と5.4ポイント拡大した。

 

16年度以降、サービス活動増減差額率は低下傾向。赤字法人割合が拡大傾向にある。また、収益規模が大きいほど人件費率は低く、労働生産性が高い。一方、規模の大きい法人においても約3割が赤字であった。大規模であっても必ずしも経営が安定しているとはいえない状況だ。

 

 

介護主体法人の収支状況をみると、21年度の介護報酬改定は、プラス0.7%の改定率となった。大部分のサービスで、基本報酬単価が引上げられた結果となっている。このことから、全体的な増収の主な要因はプラス改定であったと推測される。

 

サービス活動収益は9億7685万円と1551万円増加。割合にして1.6%の増収だった。一方で、サービス活動費用は9億5899万円と2099万円増加。2.2%の上昇となり、減益となった。

 

 

費用に着目すると、従事者1人当たり人件費が406万1000円と3万3000円上昇した。なお、これは従事者1人当たりサービス活動収益の上昇幅1万4000円の2.4倍に相当する。その結果、人件費率は66.4%と0.4ポイント上昇した。

 

また、21年度の離職率については、全体では14.0%。中でも、介護主体法人の15.1%が高い。入職後1年未満では4.9%、3年未満では4.0%となり、1年未満、3年未満の離職率ともに介護主体法人がもっとも高くなっている。人材定着に苦慮する状況がみてとれる。

 

 

 

出所=独立行政法人福祉医療機構

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