薬局と施設の連携推進 トリプル改定へ方策検討 厚労省
2024年度のトリプル改定に向け、厚生労働省は4月19日、「令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会」を開催。第2回目となる今回は、「高齢者施設・障害者施設等における医療」及び「認知症」をテーマに議論した。
病院での認知症対応や施設の感染対策も議論
■施設の薬剤管理
「高齢者施設・障害者施設等における医療」のテーマでは、主に高齢者施設における薬剤管理や感染症対策などが検討された。
施設での薬剤管理について、厚労省は「ポリファーマシーが懸念される利用者が多く、服薬の支援・管理は施設職員の業務の中でも時間や労力を必要とするものとなっている」と課題を提示。ポリファーマシー解消に向け、
▽常勤の医師及び薬剤師を配置する施設では、減薬を含めた必要な取組をさらに推進すること
▽そのほかの施設では、薬局などの薬剤師が医師や施設職員と協働しつつ、各利用者・施設の状況に応じた薬剤管理指導を行うこと
▽入所時の持参薬の管理
など、療養の場を移り変わる利用者の継続的な薬剤管理に資する取組を行うことなどが求められる。薬局と施設とのさらなる連携が必要だ。
同会では、施設の類型によって医師や看護師の配置義務などの特性が異なる点や、ショートステイ入所時の施設への服用薬、服用方法などの情報提供方法、利用期間中の薬剤管理における課題点にも言及がなされた。
■感染対策へ連携
今般のコロナ禍を受け、施設での感染対策についても議論。
平時から、施設内で感染が拡大した際の適切な対応に向けて、医療機関と施設の連携を強化しておく必要がある。厚労省は「当該医療機関においては、感染対策に関する助言や必要時の施設への職員派遣の機能が求められるが、感染者が急増した際に必ずしも十分な対応がなされなかった」と指摘。また、認知症の人が一般的な感染防止策を実施することが困難なケースもあり、高齢者施設特有の課題といえる。
これらを踏まえ、24年度改定では、施設の感染予防能力の底上げや医療機関との連携強化を検討する方針だ。
■認知症対応強化
また、40年には約800~950万人に上ると見込まれる認知症高齢者への対応強化策についても議論。中でも、病院・施設などにおける認知症対応について
▽専門的な医療・介護提供が可能な人材育成・活用とともに認知症への理解・対応力を更に向上させるための取組
▽BPSDへの対応及びBPSDを未然に防ぐケアの推進▽認知機能や生活機能などの適切な評価
▽医療現場などにおける身体拘束の問題を含めた、尊厳を重視した適切な認知症ケア提供
に関し方策を検討した。
認知症であることを理由に、急性期医療機関への受け入れが忌避されやすい傾向にあることも示された。BPSDが出現した患者に対し「最小限の身体拘束」が対策として講じられている例などについて、急性期医療機関においても対応策に取り組むよう、24年度改定で対応するよう求める声も挙げられた。