医療機器のVRリハビリ 成果報酬型、500~1000万円で mediVR

2023年5月26日

 

 

 

数あるVR製品の中でも、「医療機器」として認められているのがmediVR(大阪府豊中市)の「mediVRカグラ」だ。これを使用し、パーキンソン病の患者が約25分間のリハビリを1回行った結果、TUG(歩行テスト)が101秒から56秒に短縮されるなど、大きな効果が報告されている。また、同社は「目標達成時のみ費用が発生する」といった成果報酬型の自費リハビリ施設を運営している。

 

 

セラピストは患者の様子を見て負荷設定

 

 

mediVRカグラは、VR空間上に表示される対象物に向かって手を伸ばす動作を繰り返し、脳内の情報伝達処理過程を整理する「脳の再プログラミング」によって、ゲーム感覚でリハビリができる医療機器だ。原正彦社長が大阪大学医学部附属病院未来医療開発部に所属していた2016年に同社を起業し、大阪大学との産学連携による開発を経て、19年に販売を開始したもの。

 

 

特徴は、

①VR空間の中に患者の身体を表示せず、「コントローラー」と「目標物」を重ねる「点推定」を行い、脳に身体動作イメージを明確に生成すること

②動作達成時に視覚、聴覚、触覚に刺激を与える「多信号生体フィートバック機能」により脳の学習を効率化していること

 

 

同社の新本啓人医師は「この2つを行うにはARやMRではなくVRである必要性があり、技術に関連する特許を15種以上取得している」と話す。

 

疾患を問わず運動失調、歩行、上肢機能、認知機能障害(注意障害・高次脳機能障害)、慢性疼痛、めまい症など幅広い症状に適応できるのも大きな特色。

 

現在、大学附属病院や回復期リハビリ病院、介護施設など64ヵ所で導入。個人が自宅などに導入するケースもある。

 

 

購入の場合は初年度450万円、次年度以降は保守費用が120万円。5年契約のリースの場合は月15万円。

 

 

操作画面イメージ

 

 

 

さらに同社は「成果報酬型の自費リハビリ施設」を東京と大阪の2ヵ所で運営。結果を保証する分、最終目標達成時の費用の目安は500~1000万と高価格帯だ。医学的に確立された客観的指標で目標を細分化し、設定したマイルストーンの達成ごとに報酬をもらう仕組み(達成状態を1週間維持した場合)。

 

例えば、脳梗塞後の片麻痺の場合は、FMA(身体機能の評価法)が2点改善するにあたり50万円程の報酬を設定。ケースとして、発症後5年以上経過した重度麻痺の患者では1回40分、週2回のリハビリを1年間継続し35点の改善が得られた。また、約1時間で3.5万円の時間報酬型プランも用意している。

 

 

東京支店の今年4月の実績は全リハビリ実施回数が101回。来所ユニーク患者数20名のうち、5名が成果報酬型を利用している。

 

「現状の診療報酬や介護報酬では時間や労力に対し報酬が支払われる。その従来の常識を打ち破るため、『結果を保証する』施設とした」と原社長。

 

現在、海外の患者を取り込むインバウンド需要に応える仕組みを構築中。さらに、米国FDAでの医療機器承認プロセスを進めている。

 

 

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