〝壁がない〟デイ イオンタウンと一体開発 楽天堂

2023年9月6日

人口減少に歯止めをかけるべく、千葉県旭市は2016年から日本版CCRC構想に基づいた「生涯活躍のまち構想」を重点戦略として取り組んできた。まちの核として、イオンタウンやクリニック、介護事業所、住宅を複合したエリア開発を進めている。そのイオンタウンの1階で昨年6月にオープンしたのが〝壁がない〟デイサービス「わだち」だ。

 

 

外壁を設けないことをリスクと捉えず、プラスに活かす

 

 

旭市の人口は約6万3000人(2023年8月)、高齢化率は約31%(2020年時点)。地域の拠点となっている旭中央病院や道の駅「季楽里あさひ」を一体的に捉えて構想エリアとし、元気高齢者など都市住民の誘致と若年世代の流出抑制・流入促進を目指す新拠点「みらいあさひ」を核としたまちづくりを進めている。

 

昨年4月、大和ハウス工業、阿部建設、イオンタウン、楽天堂の4社が市と官民連携で「みらいあさひ」の中心となる商業施設「イオンタウン旭」を開業。その中には多世代交流施設「おひさまテラス」や調剤薬局、整骨院、周辺にはフィットネスジムやクリニックなどを揃える。

 

イオンタウン旭で高齢者が「生涯活躍する場」を担うのがデイ「わだち」(定員35名)。運営者はデイや介護付有料老人ホームなど約30事業所を展開している楽天堂(同)だ。

 

イオン1階の入口に面し、スーパーと無印良品に隣接している。あえて外壁をなくし、開放的な設計にした理由は「一般的に介護事業所は閉鎖されたイメージがある。せっかくショッピングセンターにたくさんの地域住民が訪れるのに活かさないのはもったいないと考えた」と品質保証部佐藤伸一部長は話す。

 

わだち 木内由佳所長(左)、品質保証部 佐藤伸一部長(右)

 

 

どんな人でも通ることが可能で、買い物客が利用者に「制作物に活用してほしい」と布地を差し入れに来たり、利用者と将棋を指しに来たりなど、「こんにちは」「いってらっしゃい」が自然に行き交う。中にはデイで働きたいと申し出る人もいるという。

 

台所を完備し、利用者は職員と一緒に食事を作り、レジに立って総菜の販売も行う。職員とショッピングセンターに買い物に行くこともあり、1人で買いに行く人もいる。「ほかのテナントのスタッフには利用者が施設内で迷ったり、レジで会計に困ったりするかもしれないが、その時は手伝ってほしいと日頃から伝えている」と木内由佳所長。そのコミュニケーションの成果もあり、地域住民も利用者に手を差し伸べる風土が生まれているという。高齢者が生涯活躍するためにはそうした周囲の理解も重要だ。

 

稼働率は約8割を維持し、新規登録者数は毎月5~10人。利用者の「やってみたい」を発揮してもらうことをコンセプトとし、利用時間外で「野球観戦に行きたい」など希望がある場合には、夢を叶える自費サービスも行っている。

 

来年夏、楽天堂は「みらいあさひ」プロジェクトの一環で、イオン隣接地に特別養護老人ホームを開設予定。社会福祉法人を立ち上げ、地域に開かれた特養運営を目指す。

 

 

利用者が役割を持って活躍する

 

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