みんなの会議/公益財団法人共用品推進機構 星川安之氏

2023年9月17日

面白いとき、一緒に笑える会議
 

「会議」には、家族・学校・会社・国会・国際など、さまざまな種類がある。広辞苑では「何かを決めるために集まって評議すること」との語釈で、会議に参加する人については限定されていない。
 

しかし、一般に行われている会議に不便を感じている人たちがいる。聴覚障害者からは「誰が話しているか分からない」、「話し終わったか不明」、「映像に字幕がない」、「通訳を待つ間に次の話題に入っている」などの不便さ、視覚障害者からは「参加者が頷いているだけだと反応が分からない」、車椅子使用者からは「扉によっては出入りが不便」、「通路が狭い」、「机に膝が入らない」などの不便さを聞いた。

 

反対に良かったこととして「事前資料をもらった」、「参加者が終わりの手話を覚えてくれた」、「昇降できるタイプの机があった」と聞いた。そして会議に望むことへの問には三者とも「誰もが参加しやすく、意見を言い合える会議。誰かが面白いことを言ったときに、同時に笑える会議」との答えが返ってきた。

 

イラストNozomilkyway

 

 

2014年、国際標準化機構(ISO)は、日本提案の「アクセシブルミーティング(みんなの会議)」の規格を、国際規格として発行した。もとになったのは、日本で10年に発行された『JISS 0042(高齢者・障害者配慮設計指針 アクセシブルミーティング)』である。この規格は、さまざまな障害当事者が感じていた会議の不便さをもとに、どうすれば誰もが参加できる会議になるかのヒントを数多く示している。社会のルールは、その社会に生活しているさまざまな人が参加して作ることで有効なルールとなる。そのため、高齢者及び障害者が会議に出席することはとても重要だ。

 

来春、合理的配慮が民間事業者にも義務化される前に「みんなの会議」を実践されることをお勧めする。

 

 

星川 安之氏(ほしかわ やすゆき)
公益財団法人共用品推進機構 専務理事
年齢の高低、障害の有無に関わらず、より多くの人が使える製品・サービスを、「共用品・共用サービス」と名付け、その普及活動を、玩具からはじめ、多くの業界並びに海外にも普及活動を行っている。著書に「共用品という思想」岩波書店 後藤芳一・星川安之共著他多数

 

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