【CHECK マスコミ報道】認知症の人、ケア付き住宅、終末期/浅川澄一氏

2023年10月18日

 

 

好企画で目を引く朝日新聞

 

9月21日の世界アルツハイマーデーを機に朝日新聞は24日から「認知症とともに」の7回連載を始めた。認知症の人たちを巡る最前線の動きを集め、力のこもった企画となった。
 

なかでも、認知症の人がデイサービス事業を経営したり、木工房の従業員となったりピアサポーターとして現れたり、と隔世の感を禁じ得ない。認知症と公表する人が増え、その先に、収入につながる活動が脚光を浴びる。
 

第一回目で登場したのは若年性アルツハイマー病の山中しのぶさん。高知県で始めたデイサービスは、東京都内のBLGがお手本。BLGとの経緯については、7月6日の毎日新聞が「働くデイサービス 自ら設立」と報じている。
 

そのBLGの創立者、前田隆行さんを追ったのは8月26日の朝日新聞の大型連載「フロントランナー」。「認知症デイサービスのイメージを百八十度覆した人」だ。今後「仕事」が広がるかは企業の対応次第。メディアの目が重要だ。
 

 

22日の朝日新聞は「見守り付き賃貸住宅 普及へ」と住宅セーフティネット法の改正内容を2段見出しで報じた。「居住支援法人」が空き室を借り上げ見守りとセットで運営できるようにする。
 

前日開催の厚労省と国交省の合同検討会が打ち出した素案だが、現行法との違いが明確でない書き方だ。知名度が低いが重要な改正案なので、もっと大きな扱いでもよかった。
 

 

やはり朝日新聞だが、「延命医療をやめる制度 韓国の実態」との見出しで10月9日の朝刊で隣国の尊厳死(自然死)をリポートした。法施行後5年経ち、184万人が必要な文書を作成し、うち16%の29万人も亡くなったという。   
 

欧米では以前から法制化されており、日本では法案作りの段階で足踏み状態が続く。
 

韓国は格好の先行例。メディアが関心を寄せるべきで、好企画だ。それだけに日本の現状、日韓の違いなどにもひと言触れて欲しかった。
 

 

読売新聞は9月19日から「透析を考える」を7回連載した。「透析をしない選択」の患者まで登場し新たな動きも記す。
 

だが、根本治療となる腎臓移植が他国に比べ圧倒的に少ない理由については踏み込み不足。医療の現状の議論に止まったのは残念だ。
 

 

9月22日の東京新聞は、身体介護と生活援助が「介護報酬に差があるのに同一時給」と問題提起し、27日の日本経済新聞は「かかりつけ医 詳細来夏に」と大騒動の決着を解説した。共に見逃せない記事だ。

 

 

 

浅川 澄一 氏
ジャーナリスト 元日本経済新聞編集委員

1971年、慶応義塾大学経済学部卒業後に、日本経済新聞社に入社。流通企業、サービス産業、ファッションビジネスなどを担当。1987年11月に「日経トレンディ」を創刊、初代編集長。1998年から編集委員。主な著書に「あなたが始めるケア付き住宅―新制度を活用したニュー介護ビジネス」(雲母書房)、「これこそ欲しい介護サービス」(日本経済新聞社)などがある。

 

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