2024年2月14日号 2面 掲載

介護報酬改定2024<私はこう見る> / 定期巡回・随時対応型訪問介護看護協議会 津金澤寛副理事〈後編〉

2024年1月30日

利用者1人あたり8500円のマイナス 「処遇改善、減算の穴埋めならず」 

 

 

定期巡回・随時対応型訪問介護看護協議会 津金澤寛副理事

 

 

次に⑧介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算・介護職員等ベースアップ等支援加算の一本化について。

 

介護現場で働いている職員の待遇を改善し、また新たに介護現場で働き始める職員を確保できるよう、現行の各加算・各区分の要件及び加算率を組み合わせた4段階の「介護職員等処遇改善加算」が新設された。

 

 

定期巡回に新たに設けられた加算の単位数は以下の通り。

 

加算(Ⅰ) 加算率24.5% (介護福祉士30%以上)

加算() 加算率22.4% (年収440万円以上が1人以上)

加算() 加算率18.2% (資格や勤続年数に合わせた昇給の仕組みの整備)

加算() 加算率14.5% (職場環境改善と賃金体系整備、研修実施)

 

 

新加算はでは職種に着目した配分ルールは設けず、事業所内で柔軟な配分が認められているほか、加算の1/2以上を月額賃金の改善にあてることを要件としている。

 

加算率の数字だけに着目すればやや目を引くが、冷静に内訳を計算すれば従前の3加算をまとめたにすぎず、ベースアップ等支援加算を入れても上乗せ率は数%程度であることから、後述の「本体報酬の大幅減算」の穴埋めにはなっていない。さまざまな媒体や資料には「本体報酬を下げた分を処遇改善で埋め戻した」のように紹介されているが、年収400万円から418万円になったところで、処遇は改善されないし、新たな人材の参入も実現するとは思えない。

 

 

最後に⑬定期巡回・随時対応型訪問介護看護の基本報酬の見直しについて。

 

将来的に夜間対応型訪問介護を整理する考えのもとに、その前段として調査研究(NTTデータ経営研究所)を実施。この結果に基づいて、定期巡回のサービスの中に夜間対応型訪問介護にあたるサービスを新設した。

 

基本夜間対応型訪問サービス費 989単位/(月額 包括報酬)

定期巡回サービス費        372単位/(出来高払い)

随時訪問サービス費()    567単位/(出来高払い)

随時訪問サービス費()    764単位/(二人体制で訪問時の出来高払い)

 

これは次の改正で夜間対応型訪問介護を介護保険サービスから整理し定期巡回・随時対応型訪問介護看護の1サービス類型として一体的に運営するための準備である。

 

また本体報酬については以下の通り「マイナス改定」となっており、事業者からは失望と怒りの声が多数あがっている。

 

以下、減算額を記す。

 

要介護1 -0251単位 (2510/利用者1人あたり)

要介護2 -0448単位 (4480/利用者1人あたり)

要介護3 -0743単位 (7430/利用者1人あたり)

要介護4 -0940単位 (9400/利用者1人あたり)

要介護5 -1137単位 (11370/利用者1人あたり)

 

 

なお、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護については、処遇改善加算について今回の改定で高い加算率としており、賃金体系の整備、一定の月額配分等により、まずは14.5%から経験技能のある職員等の配置による最大24.5%まで取得できるように設定している。」と、社会保障審議会の資料に記載があるが、ここで誤解の無いように付記しておく。

 

先ほども触れたが、上記の加算は既存の3加算を一本化しただけで、新たに上乗せした部分については数%である。その数%で最大利用者111370円の減算を飲み込み、更に職員の処遇を改善する方法などあろうはずがない。

 

定期巡回は先進国では当然のサービスだが、地域包括ケアシステムの中心を担うといわれているこのサービスをわが国ではどう考えているのか。そもそも、この人口減少社会のフェーズで1部屋1000万円かけて大規模施設をつくる理由は、一体何なのであろうか。国民および介護従事者のニーズとはかけ離れているのではないだろうか。

 

 

結論として、新総合マネジメント体制強化加算(1)+200単位、口腔連携強化加算で+50単位で月額最大2500/利用者1人のプラスに対し、本体報酬最大11370/利用者1人のマイナスなので、利用者一人あたり8500円のマイナス改定となった。仮に要介護3の利用者が30人在籍している事業所のひと月当たりのマイナスは、147930=(74302500)×30人である。

 

過去の研究事業などから数字を確認してみたが、平均要介護度3で利用者30人、常勤換算職員13名の場合の収支差は177117円しかない。これが今回の改正で収支差29187円にまで落ち込むことになる。

 

ただでさえ訪問介護事業所の倒産件数は過去最高を記録し続けるなか、この「マイナス改定」により、さらに倒産件数が記録的に増加することが予想される。

 

地域包括ケアシステムが目指すところの在宅生活など、御託どころか夢にさえ見ることができなくなった。

 

経営実態調査の結果により訪問介護系は大幅な黒字とみなしマイナス改定を実施したらしいが、大幅な黒字ならば今頃、定期巡回はデイサービスよりもコンビニよりも増えているはずだし、訪問介護事業所の休止、廃止、倒産は皆無で、続々と新規参入事業所が増え、保険者は慌てて総量規制をかけているはずだ。

 

 

このような中にあっても定期巡回の第一線や被災地にて諦めることなくこの事業を継続してくれている仲間には、心からの感謝と応援をおくりたい。

 

来るべき3年後にむけて、我々は矜持をもってこの仕事を積み重ね、今度こそ、社会から真に適切な評価を受けなければならないと考える。

 


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