人材危機を乗り越える、持続可能な介護経営論 〜「テクノロジー×外部人材」の戦略的活用が現場の笑顔とケアの質を守り抜く〜
2040年問題など介護業界の人材不足が年々深刻化する中で、「スポットワーク」という働き方やそれを活用した人事・採用戦略の必要性が急速に高まっている。介護職のスポットワーク事業のトップランナーであるカイテクの武藤高史社長と、同社のサービスを利用してスタッフの処遇改善など多くの効果を生み出している大手介護事業者さわやか倶楽部の山本武博社長に「人材危機をいかに乗り超えるか」をテーマにインタビューした。
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2万事業所登録 1年で倍増

カイテク 代表取締役社長 武藤高史
新たに薬剤師を登録対象職種に
――現在のサービス提供実績を教えて下さい
武藤 現在、アプリをインストールしたワーカーは100万人を突破しました。一方、サービスに登録している介護などの事業所は約2万ヵ所です。この1年間で2倍以上に増えています。①スポットワークという働き方の認知度・理解度が高まった、②新型コロナウイルス感染症が落ち着き、不特定多数の人の出入を避ける事業所が減った、③2025年に47都道府県全てでワーカーと事業所のマッチング体制が整った、④「介護職」「看護師」「リハ職」に加え、2025年に「薬剤師」も登録・マッチングの対象に加わった、ことが急速な伸びにつながっていると思います。
当初は「知らない人が働きに来るのは…」と事業所側の警戒感もありました。「登録は有資格者限定」など質の担保を図ることで、時間をかけてそうした不安の払拭を図ってきました。
潜在介護職に直接アクセス
――これまでの介護業界の人材戦略、例えば介護ロボットの導入や処遇改善、魅力発信といった従来の施策には限界があるという見方がありますが、この点についてはどのようにお考えでしょうか
武藤 介護人材不足は今後もさらに厳しくなることが見込まれる中で、おっしゃったような従来の施策が必ずしもうまくいっていない状況が続いています。私たちは、この現状に対する新たなアプローチが必要だと考えています。スポットワークという考え方を通じて、「埋蔵人材」とも呼ばれる潜在介護福祉士、つまり潜在労働力に直接アクセスできる点に注目しています。従来の働き方では活躍の場がなかった人々に働いてもらうことで、人材不足の解決に大きく貢献できると強調しています。ケアマネジャーが「最新の介護現場の状況を知っておきたい」とワーカーとして登録・就労するケースもあります。
そして、そうしたスキル・経験値の高いスタッフがスポットワークを通じて多くの事業所で勤務をすることで、結果的に介護業界全体の人材スキルの底上げが期待できます。
また、ワーカー側も事業所側も「長期雇用前のお試し期間」を設けられる点です。介護スタッフの離職理由で一番多いのは「職場の人間関係」です。しかし、これは面接や職場見学だけではわかりません。当社のサービスを利用することで、実際の職場の環境や雰囲気を知ることができます。就職に際してミスマッチが減れば、求職側・求人側双方に大きなメリットになります。また、長期雇用へ転換する前に実際の業務を経験していますから、長期雇用後のOJTなども少なくて済みます。

カイテク 管理画面イメージ
シフト作成支援無料で利用可能
――事業所向けの新たなサービスを開始したそうですが
武藤 2025年に「カイテクシフト」というサービスをリリースしました。ICTを用いて事業所の勤務シフト作成をサポートします。その上で「シフトにどうしても穴が空いてしまう」といった事態になったときには、その部分について当社でスポット求人をかけ、マッチングが可能です。また、行政に提出する勤務形態一覧表も自動作成します。
「カイテクシフト」自体は当社の求人サービスの利用の有無に関係なく、全ての事業所が無料で利用できます。
特別養護老人ホームなど365日・24時間無休で稼働している事業所のシフト作成は非常に複雑で、施設長や管理者にとって大きな負担となっています。また、自社スタッフだけで誰からも不平不満がでないシフトを作成するのは事実上不可能ですし、スタッフの病気や家庭の事情などで作成したシフトに穴が空くことは避けられません。「カイテクシフト」は、こうしたシフト作成に関するさまざまな課題の解決が可能です。

カイテクシフト画面
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月700人の短期ワーカー受入

さわやか倶楽部 代表取締役社長 山本武博
都周辺エリアで人手不足深刻化
――介護業界の人材不足の状況についてどのように感じていますか
山本 特に東京近郊では「同じ介護の仕事なら、給料の高い都内で働きたい」と考える人が多く、人材確保に非常に苦労しています。
――会社としてどのような取り組みを行っていますか
山本 まずは外国人人材の活用です。現在、特定技能を中心に180名弱のインドネシア人人材が就労しています。
次に、働き方改革や処遇改善です。業務のDX化で労務負担軽減を図っています。また介護職員処遇改善加算の算定などで、5年間で平均7%の賃上げを実現しました。
――カイテクのサービスを積極的に活用しています。きっかけは何だったのでしょうか
山本 3年前に銀行主催のセミナーに私が登壇したのですが、私の前の登壇者がカイテクの武藤社長でした。その講演を聞いて「何て素晴らしいサービスなのか」と驚き、その場で社に電話して「カイテクという会社について詳しく調べて欲しい」と指示をしました。
現在は、全国40の事業所でカイテクさんのサービスを導入しています。働くワーカーさんは1ヵ月で延べ700人程です。

さわやか立花館外観
優れた人材多い現場から高評価
――サービス導入に際しての社内の反応を聞かせて下さい
山本 正直なところ、導入前は「面接もなしに人を採用するなんて」などの声が現場からあがりました。しかし、実際に導入してみると「介護福祉士資格を持った優秀な人材が来る」と好評価です。また、ワーカーさんは様々な介護の現場で働いた経験がありますので、当社スタッフの介護に関する知識の向上などにもつながりました。
――導入メリットを教えて下さい
山本 まず、就労が終わった後の「相互評価システム」の存在です。私たちもワーカーさんを評価しますが、ワーカーさんも私たちの事業所を評価します。この評価システムがあることで、各事業所が「ワーカーさんが安心して働けるようにしよう」と受け入れ態勢をしっかり整えるようになりました。具体的には、ワーカーさんに指示を出す担当者の配置などです。その結果、普段の業務でも仕事の説明・指示を的確に、わかりやすく行えるスタッフが増えました。
1ヵ月で数名が長期雇用を希望
――働き方改革や処遇改善の面では
山本 有給休暇の取得率がこの5年間で約5%上昇しています。これまでは有給申請を遠慮していたスタッフが「カイテクさんがいるから」と安心して申請できるようになったことが大きいです。しっかり休める体制・雰囲気の会社になったことで、離職率も前年比で5%低下しています。
また、時間的な余裕が生まれたことで、社内研修にこれまで以上に時間をかけることができます。スタッフの学びの機会が創出できたことで、当社の基本理念である「慈愛の心・尊厳を守る・お客様第一主義」を更に深化させることができました。
そして、現在月に平均して2~3人のワーカーさんが長期雇用に至っています。実際に現場で働いて、雰囲気などをきちんと理解した上での入社なので、ミスマッチを起こしません。
――今後の取り組みなどを教えて下さい
山本 既存の中小介護事業者の経営支援を手掛けたいと考えています。人手不足や物価上昇が続く中では、介護事業者はDX化など業務効率化が不可欠です。しかし中小規模事業者では、多くの情報の中から自分に必要なものを取捨選択する余裕がないという現実があります。
そこで、当社が実際に利用する機器やサービスをパッケージ化して提案することを考えています。その中にカイテクさんのサービスも入れていきます。2027年度中にはサービスをリリースする計画です。
【問い合わせ先】
TEL : 050-1790-3998
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