モリモト医薬(大阪市)盛本修司社長

2016年2月3日

モリモト医薬(大阪市)はこのほど、服用支援ゼリーの増産体制を整えた。同商品はゼリーと薬が一塊になり、服薬をスムーズにするのが特色。ゼリーに離水がないため、スプーンを逆さまにしても落ちない。厚生労働省が設けた「えん下困難者用食品たる表示の許可基準?」に相当する。高齢者施設や医療施設などからの引き合いが増えており、2016年度はこれまでの10倍近い売上高を見込む。

 

商品名は「eジュレ」。錠剤やカプセル状の薬をゼリーで覆うことで違和感なく飲める。顆粒や粉末の場合は約1・5グラム程度オブラートに包むことで苦味を感じずに服用できる。

 

一般的なゼリーは薬とゼリーが分離しやすく、スプーンに乗せた薬が滑り落ちてしまう問題があった。とろみ剤のような手間がかからず、手軽に服用を支援。条件による物性の変化がなく、安全性も高い。

 

ゼリーは離水しにくく誤嚥の心配が不要。薬剤をしっかり包み込むが水分で流れやすい。水なしで飲めるため、水分摂取制限の患者にも対応。

 

ゼリー物性評価試験では、硬度、付着性、凝集性を検査。厚生労働省が規定した「えん下困難者用食品たる表示の許可基準」で「?」相当を実証した。

 

「誤嚥せずにいかに薬を飲みやすくするかを追求。薬の体内への吸収にも影響しなかったという研究成果も得られた」(盛本修司社長)。

 

8年ほど前から開発を手掛け、2年前に服用支援ゼリーとして販売を開始。

 

原材料は還元麦芽糖、砂糖、寒天末、甘味料など。「医療品質レベルを目指した」ことで、不溶物はほとんど使用せず、保存性も高い(製造後3年)。

 

価格はキャップ付きの150ミリリットル入りの「eジュレCP」で470円。1回7ミリリットル、1日3回使用した場合、1週間利用できる。1回あたりの価格は業界最低クラス。クリアパックで中身が見やすい容器にした。先月から医薬品卸会社にて販売を開始。その他、スティックタイプもラインナップ。

 

服薬支援ゼリーの市場は70~80億円程度と言われる。同社では生産・販売を強化することで2016年度に約3億円の売上高を見込む。

 

盛本社長は京都大学工学部を卒業後、武田薬品工業の製剤研究所などを経て、2005年に起業。「錠剤包装革命」を掲げ、PTPに代わる軟質フィルムによる包装の開発を手掛けてきた。

 

昨年には一般社団法人日本安全服用協会を設立。「安全に飲み込める薬」をテーマに、誤飲や誤薬の啓蒙、新たな資格制度・養成講座の立ち上げを目指している。

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