モンスター職員の特徴と対処方法/ねこの手 伊藤亜記氏

2022年8月4日

職場環境が原因の場合も タイプごとに対策

 

モンスター職員とは、仕事に対する姿勢や行動、職場や職場で関わる人への言動や態度が極端に常識外れな職員のことです。あり得ない主張や批判を繰り返し、周りの人に迷惑をかけ、業務の進行を妨げます。

 

健全で優秀な職員までが、ネガティブな状況に陥り、複雑な心境から業務に支障が出ると不満を漏らすようになります。モンスター職員と関わる中で、不快や苦痛が募って、退職する職員も出てきます。職場の雰囲気は、業務上だけではなく、質を左右する重要なものです。

 

会社にとってモンスター職員は、取り除きたい存在です。しかし、その会社の職場環境自体が、モンスター職員を生み出している原因である可能性もあります。

 

モンスター職員の放置が、さらにモンスター職員を生み出すこともあります。また、資格を有しているからと能力を無視した人事配置や人事評価の在り方に対し、職員が過剰な不満や苦痛を募らせてしまうケースも少なくありません。そのような職場環境の問題が、原因になっていることもあります。

 

 

人との関係希薄化

社会的変化を見ると、昔に比べて人との関わりが希薄化しています。デジタル技術の進化でコミュニケーションのスタイルも様変わりしています。この時代に懸念されることは、周りに存在する人たちへの意識、感謝や思いやりの欠落です。

 

主張することは悪いことではありませんが、基本的な伝達力、建設的な話し合いをする能力が低くなったことや、その能力を培う機会が不足していることも原因にあります。

 

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モンスター職員には、さまざまなタイプがあります。

 

パワハラ型:職場でおかれている自分の立場や地位を利用し、部下などを攻撃するタイプです。

パワーハラスメントに対する関心も社会的に高まっていますが、介護現場でも昔からの風習が横行し、重大な問題です。会社にとっては、職場の雰囲気を悪くし、部下や新人職員の退職などを招くパワハラ型モンスター職員です。

 

家族介入型:業務や職場に対して、職員の家族が介入するタイプです。

最近では、会社に対して、主張や文句を突きつけてくるのが職員の家族というケースもあります。この場合には、家族がモンスターという可能性もあります。

 

自信過剰型:自分だけが正しいと強く主張を押し通そうとするタイプです。

自分の意見が通らないと、感情的になったり、周囲に同情を求めたりする行動も見られます。周りに配慮することができない上に、自己能力に過剰な自信をもっている人が多いです。

 

被害妄想型:人を信じることができず、何ごとも歪曲した捉え方をしてしまうタイプです。

善意にも裏があると危惧して自らストレスを溜めたり、些細なことに被害者意識を持ったりします。このタイプは、自分を責める傾向が強いことも特徴で、心に余裕がありません。これらのことが卑屈さや攻撃性として露見し、業務に支障が出ることも多いです。周りにとっても、どのように対処すれば良いのかと悩ませる傾向があります。

 

不安定型:情緒が極端に不安定なタイプです。

人によって態度や言動が異なることが特徴です。そのことが周囲のコミュニケーションを険悪化させます。常に不安要素を抱えているため、その不安を解消するために自分勝手な自己防衛を図ります。感情的にも露骨な落ち込みが続く、すぐにキレたりと浮き沈みが激しいこともあります。

 

反抗型:何を言われても、何に対しても反抗的で対応してしまうタイプです。

指示や指導に対して、不可解なほど素直に応じようとしません。上司だけでなく、同僚の忠告にも耳を傾けなかったり、皆でやろうと決めたルールに従わなかったりすることが多く、孤立しやすいタイプです。

 

 

負の連鎖を生まないためにも、適切な対応が必要です。

次回はモンスター職員の共通の特徴と対策をご紹介します。

 

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伊藤亜記氏
㈱ねこの手 代表

介護コンサルタント。短大卒業後、出版会社へ入社。祖父母の介護と看取りの経験を機に98年、介護福祉士を取得。以後、老人保健施設で介護職を経験し、ケアハウスで介護相談員兼施設長代行、大手介護関連会社の支店長を経て、「ねこの手」を設立。

 

 

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