介護事業所職員の賃金、公表義務化の方針 厚生労働省
個人特定されない配慮 データベース 運用も
厚生労働省は3月8日、「令和4年度 全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議」を公開。2024年度介護保険制度改正に向けて、全国の介護事業所に対して職員1人当たりの賃金と財務状況の公表・報告を義務化する方針で、公表の在り方を検討している。介護事業所の経営の透明性を高めていく考えだ。
本件については、「介護サービス情報公表システム」を通じて財務状況を公表する方針を固めている。現状、職種別の職員の数や経験年数などが公表されていることも踏まえ、一人当たりの賃金なども公表対象に追加する方針。処遇改善加算が適切に配分されているかといった施策効果の見える化につなげ、事業者に賃上げの実施を促進する目的だ。
公表の際は、設置主体や給与体系などの違いに配慮することや、公表する情報に関係する個人が特定されることがない仕組みを検討している。
また、厚労省は別事業として、全介護事業所に対し、詳細な財務状況(表参照)の自治体へ報告する義務付けに向け動いている。
収集した財務情報は国がデータベースを整備し、24年度から運用する計画だ。データベースの情報については、個別の事業所ごとの経営情報を公表するのではなくマクロデータとして分析。属性などに応じてグルーピングした、個々の事業所が特定されない形での分析結果を公表する予定としている。介護事業者の事務負担に配慮し、今後具体的な検討を進めていく構え。
老健局認知症施策・地域介護推進課の笹子宗一郎課長は「持続可能な介護サービス提供体制の構築のため、物価上昇、災害、感染症に対する支援策、処遇の適正化、現状に沿った報酬改定に向け、費用の見える化を進めることは重要」と説いた。
今後、公表に関しての省令改正に向けて必要な対応を進めていく。