医療イノベーション推進 自由診療普及へ協議会発足
2023年5月8日
4月12日、日本における自由診療の振興を目的に、一般社団法人自由診療振興協議会(東京都千代田区)が発足。同日、設立を記念したシンポジウムが開催された。
同協議会では
▽高度・最先端の医療を患者自身が選択可能にする
▽若手医師のモチベーションを高め、医療技術を向上する
▽日本の医療の底上げによるインバウンド医療ツーリズムの推進
▽研究開発に従事する企業・研究者の経済的インセンティブ促進
▽受益者負担の医療サービスなどの普及による患者の多様なニーズへの対応
▽自由診療の普及による診療報酬の財政的負担軽減で皆保険制度の持続可能性向上
――といった活動を行っていく。
発起人である元環境大臣・医学博士の鴨下一郎氏が代表理事を務める。理事には、元厚生労働大臣の塩崎恭久氏、日本学術会議元会長の黒川清氏、公益社団法人日本歯科医師会元会長の大久保満男氏、ジョイフル代表取締役会長の穴見陽一氏が就任した。
シンポジウムで鴨下代表理事は、「自由診療は皆保険制度と相対するものではない。自由診療の広がりが皆保険制度の安定と持続可能性につながる。そして日本の医療全体の底上げの突破口にもなり得る」と述べた。
塩崎理事は保険制度の下では税制の問題などの制約があり、医療のイノベーションが起こり難いと話し、「自由診療というフレキシブルな発想」がイノベーションの促進には重要であるとした。
大久保理事は現在の医療の課題として、治療の方針などを患者ではなく医師が決定していることを挙げた。「情報が医療提供側に偏っていることがその背景にある」として、自由診療の振興に際しては情報格差の是正も必要と指摘した。

写真手前から鴨下一郎代表理事、塩崎恭久理事、黒川清理事、大久保満男理事、穴見陽一理事