総合事業充実へ初会合 厚生労働省
月1開催、夏に中間整理
厚生労働省は4月10日、「第1回介護予防・日常生活支援総合事業の充実に向けた検討会」の初会合を開催した。介護保険部会で挙げられた意見をふまえ、総合事業を充実させていくための制度的・実務的な論点を包括的に整理し、工程表に沿って具体的な方策を講じていく方針。今後月1回のペースで開催し、夏頃に中間整理を行う予定だ。
担い手不足、利用者増 生駒市の取組 共有も
同会では、工程表に盛り込むべき検討事項として
▽総合事業の対象者モデルの検討と地域のデータの把握を踏まえた多様なサービスの整備
▽総合事業の充実に向けた制度面・実務面で必要と考えられる措置
――を挙げた。
住民主体の取組を含む、多様な主体の参入促進にも取り組む方針。主に、一般介護予防事業との関係をふまえたサービスA・Bなどの活性化や、サービス選択を支える仕組みの質的向上、生活支援コーディネーターの活用方策など。
中長期的視点では、
▽総合事業に対する国民・市町村の理解の推進
▽継続利用要介護者の利用実態の評価
▽総合事業の実施状況を含む地域づくりの評価の視点
――を取り組みの方向性として示した。
総合事業のうち介護予防・生活支援サービス事業の実施市町村数については依然として、訪問型・通所型ともに、「従前相当サービス」を実施している市町村が92.3%を占める。なお、訪問型でサービスAからDのいずれかを実施している市町村は63.5%、同様に通所型で69.6%。一方、見守りや配食など「その他の生活支援サービス」を実施している市町村は22.5%にとどまる(2020年度厚労省調査)。
従前相当以外のサービスを担う事業所・団体数は、訪問型で微増、通所型ではやや減少傾向にある。一方、利用実人数の推移からは、いずれも従前相当以外のサービスの利用者数が増加していることがわかる。
今後、月1回開催される検討会において、多様なサービスの担い手として期待される団体などへのヒアリングを5月31日に予定。▽民間企業(ショッピングセンター、家事代行サービス業者など)▽福祉サービスなどの提供者(介護事業者、老人クラブなど)▽関係省庁――より2、3者を招き検討を行う。
なお当日は、総合事業への早期移行に努め、要介護認定率の低下や給付抑制などにつなげている奈良県生駒市役所特命監の田中明美構成員が資料を基に取り組みを共有。他構成員からは「生駒市のノウハウを他市町村で展開したからといって成功するわけではないが、地域ごとの実情に応じた形で横展開が可能となれば」と期待の声も聞かれた。