生産性向上 実証結果受け「さらなる検証」求む声 介護給付費分科会
厚生労働省は4月27日、社会保障審議会介護給付費分科会を開催。2022年度実証事業「介護ロボット等による生産性向上の取組に関する効果測定事業」の結果を報告した。テクノロジー及び介護助手の活用については「推進すべき」との意見が大半だが、人員配置基準の緩和については「慎重に行うべき」との意見が多く挙げられた。
人員配置緩和「慎重に」
当日は、①見守り機器等を活用した夜間見守り②介護ロボットの活用③介護助手の活用④介護事業者等からの提案手法――の4つの実証テーマの結果が示された。
①見守り機器等の活用では、機器導入率の増加に伴い「直接介護」と「巡回・移動」時間が減少すると報告。機器導入率50%、80%の場合はそれぞれ13.9%、14.6%業務時間が短縮された(n=111施設)。
②介護ロボットの活用では、▽移乗支援(装着)▽移乗支援(非装着)▽排泄支援▽介護業務支援――に分けて実証。排泄支援機器については「適切なタイミングでトイレ誘導することで、誘導時に排泄がなかった回数が減少した」などの結果が示された( n =10)。
また、スマートフォン、インカムなど介護業務支援機器の導入では、昼夜ともに「記録・文書作成・連絡調整等」の業務時間の効率化が図られた(n=98)。
③介護助手の活用に関しては、介護助手が間接業務を担う時間に比例して、介護職員の間接業務時間が削減(n=17)。なお、本実証に参加した介護助手40名のうち、介護・医療の資格保持者は25%で、最多は旧ヘルパー2級。介護助手の業務内容で最も多かったのは「食事・おやつの準備・片付け」だった。
④介護事業者等からの提案手法については図参照。古谷忠之委員(公益社団法人全国老人福祉施設協議会)はSOMPOケアの実証結果について「職員1人当たり利用者数3.23人というのは、『介護補助職者』の数を加えた数値ではないため配慮が必要」と言及している。
稲葉雅之委員(民間介護事業推進委員会)は「生産性向上の取り組みは在宅分野でも極めて重要。今後、在宅分野での検証予定はあるか」と質問。事務局は「積極的に進めていけるよう、施設と在宅の違いを踏まえ検討したい」と返答した。
小林司委員(日本労働組合総連合会)は「サンプル数が少ないものもあり、よく見ると施設ごとにばらつきがある。人員配置基準の緩和を目的にすることのないよう丁寧な分析を」と強調。
田中志子委員(一般社団法人日本慢性期医療協会)も「説得力が弱く、さらなる検証が必要と言わざるを得ない」と述べた一方で、介護助手については「仕事の切り分けが難しい現場もある中で、活躍可能な業務内容が示されたことは意義深い」とコメントした。

第216 回社会保障審議会介護給付費分科会資料をもとに編集部で作成