飛騨市で社福連携強化〝地方の人材確保〞モデルに 社会福祉連携推進法人共創福祉ひだ
岐阜県飛騨市で介護事業などを展開する2つの社会福祉法人が6月29日に、社会福祉連携推進法人共創福祉ひだを立ち上げた。人材確保が難しい地方での採用・育成の強化を目指す狙いがある。

橋本正人代表理事
高齢化率40% 介護需要増に対応
共創福祉ひだは社会福祉法人吉城福祉会及び社会福祉法人神東会が連携して設立した。全国で16例目の社会福祉連携推進法人の認定となった。
社会福祉連携推進法人は2022年4月から施行された制度。複数の社会福祉法人が社員になり、人材確保や研修の強化・災害時の連携・物品の共同購入などにおいて相互連携を行う仕組みのこと。
「共創福祉ひだでは人材関係の施策として、法人間の人材交流推進によってスタッフの能力向上や生活スタイルに合わせた働き方の提示によって離職防止を図る」(橋本正人代表理事)
神東会では技能実習生・EPAなど外国人人材を11名受け入れている。法人の枠を越えた規模の大きな配置転換が可能になったことで、本人の希望にあった活躍の機会を創出する。同時に、外国人人材の受け入れノウハウを横展開していく考えだ。

社会福祉法人神東会
2法人の連携によって地域福祉支援事業もより推進していく。
神東会の特別養護老人ホームではボランティアポイント制度を運用しており、貯まったポイントは地域商店街などで使用できる仕組みとなっている。介護の間接的業務を担うサポーターの掘り起こしと、ボランティア実践による介護予防を市全域に広げる。また、吉城福祉会の子ども食堂やフードドライブの活動もエリアを拡大し、市全域に支援が行き渡る体制を築いていく。
飛騨市は23年時点で高齢化率40.21%。要介護の認定率が大きく上昇する75歳以上の人口は、今後2〜3年後にピークを迎えると予想されている。それに向けて地域の介護サービスの提供体制を整えることが急務となっている。特に人材確保が大きな課題となった。
市ではそれぞれの法人が個別に採用活動を行うより連携して取り組むことで効率の向上が見込めると考え、両法人代表者を集めての会議で意見を求めた。その会合で、吉城福祉会と神東会は事業地域が異なる法人であったが相互連携による人材確保の強化を図りたいという意向が一致。市の協力もあり共創福祉ひだの設立に至った。
現在2法人による取り組みだが、希望があれば他法人の参画もあり得るという。
過疎地における人材確保のモデルとなるよう、取り組み状況を全国に発信していくことも目指す。

社会福祉法人吉城福祉会