2025年10月8日号 1面 掲載
学研、日本生命と資本提携 2%出資受け、介護・保育で協業
学研ホールディングス(東京都品川区)と日本生命(大阪市)は9月26日、資本業務提携締結を発表。日本生命は学研HDの株式約90万株を約9.1億円で取得、出資比率は約2%。両社は、介護・保育施設向けに物品やサービスを共同調達するプラットフォームを立ち上げる。地域インフラとしての介護・保育分野の経営を支える狙いで、全国展開を視野に2025年内の稼働を目指す。
「共同購買PF」立上げ
同日開かれた報道向け発表会で、学研HDの宮原博昭社長は「介護はグローバルに展開していくべき魅力ある分野。国内基盤を盤石にするためにも、信頼できるパートナーと組んで展開していきたい」と述べた。本資本業務提携により、日本生命は学研HDにおいて10位の大株主となる見込み。

学研ホールディングス 宮原博昭社長
日本生命より出資を受け、
▽介護・介護周辺領域における連携・協業
▽保育・保育周辺領域における連携・協業
▽教育・資格領域における連携・協業
▽相互送客、両社の顧客基盤を活用した連携など
――の4分野で取り組みを進める。具体的な協業内容の1つが、介護・保育施設向けに物品やサービスを届ける「共同購入プラットフォーム」の立ち上げだ。
このプラットフォームでは、介護・保育施設が必要とする備品、消耗品、福祉用具、修繕・保守サービスなどを一括で調達。加えて、価格調査に基づいたコンサルティング支援も提供する。学研グループのメディカル・ケア・サービス(さいたま市)子会社であるプロパティ・ケア・パートナーズ(以下・PCP/同)が中核となり運営を担う。
学研HDの小早川仁取締役常務執行役員は「介護や保育は地域インフラ。持続可能な形をつくらなければ、いずれ生活そのものが成り立たなくなる」と述べ、支援の必要性を強調。全国の介護・保育事業者を主な対象とする。特に介護業界では従業員10人未満の施設が全体の約8割を占めるとされ、購買力や業務の効率性で課題を抱える施設が多い。
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小早川仁取締役常務執行役員
「ニチイ学館と行ったシミュレーションでは、物品購入コストの5%以上の削減効果が確認されている」と山本教雄取締役上席執行役員。PCPの外部販売実績は、23年度の取扱高5.9億円から25年度には10億円に伸びる見込みで、数年内に100億円規模を目指す。
導入拡大にあたっては、日本生命が持つ全国のネットワークを活用する。同社は47都道府県すべての自治体との協定、295の市区町村との包括協定に加え、地銀や信金との連携を持つ。互いのタッチポイントを活用し顧客満足度のさらなる向上を図る。物流面でも「PCPは中山間部や離島を含め対応できる体制が整っている」(山本取締役)として、全国対応の実績と支援体制を強調。コールセンターも備え、問い合わせや運用支援にも対応する。
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山本教雄取締役上席執行役員
教育・保育分野での連携も視野に入れる。学研の教材・教室事業を、日本生命の契約者やニチイ学館が運営する保育施設に紹介・提供する取り組みを検討していく。
さらに、両社のリソースを活用し、人材育成分野でも連携を進める方針だ。小早川取締役は「資格がなければ現場に立てない。学研には教育コンテンツの資産がある」と述べ、資格取得支援や研修プログラムの提供に意欲を示した。
今後はICT導入や業務支援、事業承継支援などを含め、支援領域を拡大する考えだ。