2026年4月22日号 4面 掲載
社会福祉法人小田原福祉会 フィードバックを最大限活用 数値で議論、多職種で
徐々に取り組む事業者が増えてきたLIFE。ただ、「フィードバックをうまく活用できない」といった声も聞かれる。社会福祉法人小田原福祉会の井口健一郎理事は、「LIFEはこれまで自分たちが行ってきたケアの答え合わせができるもの」と話す。

井口理事
――LIFEに関して持っていた問題意識は
井口 従来の介護の評価は、主に「人員配置」といったストラクチャーや、「計画の実施」というプロセスに重点が置かれてきました。自立支援の成果が利用者の状態など個別要因に左右されやすく、客観的な指標で捉えることが難しかったためです。
LIFEで栄養やリハビリ、口腔ケアなどの結果をデータとして蓄積し、ケアの妥当性や改善の過程を「見える化」できた点は画期的。手続きが大変だという理由で敬遠するのはもったいないです。
「フィードバックは使えない」と言っている場合ではありません。自法人の介護が、全国との比較や時系列での比較で可視化される仕組みがせっかく整えられたのです。自分たちのケアの「立ち位置」「現状」を知ることが重要な第一歩。LIFEに係わる国の議論に携わってきた立場として、今からどう活用していくかを真剣に考えてほしいと思っています。
――小田原福祉会の特別養護老人ホームでの変化は
井口 これまでリハビリ専門職や看護職しか把握していなかった数値上の変化を、全職員に共有できるようになりました。数値に基づく議論のもと、多職種で一貫したケアを行えるように。また、異変の兆しを早期に捉え、予防的ケアへの転換も進んでいます。実際に100名定員の特養では、ADLが向上した上、入院者数が減少し、滞在期間の長期化といった変化が見られています。職員のモチベーションも向上しました。利用者に対し数値上の成果を説明できるのもメリットです。
――LIFEに関する書籍を出版しました
井口 単なるLIFEの解説書ではなく、ケアや組織体制そのものを見直す「実践型の教科書」です。LIFEはケアの質を後から可視化するもの。「加算取得ありき」ではありません。質の高いケアを行っているからこそLIFEでその成果を証明し、足りない部分を埋め、うまくいっている部分はさらに高めていけるのです。先進的で優れたケアがLIFEでどのように可視化されるのか、社会福祉法人平成記念会や医療法人大誠会など10法人の事例を通じて示しています。
対象読者は介護職、ケアマネジャー、理学療法士、看護師など幅広く、専門知識がなくても理解できるストーリー構成です。

特養・老健のためのLIFEフィードバックの読み方・使い方/第一法規/税込2750円
LIFE制度構築の中心的役割を担う厚労省医政局の長嶺由衣子氏との対談も収載。LIFEの先にあるデータヘルスの実現を目指すという理念、原点について語り合いました。LIFEはあくまで手段。現場や国の医療・介護を科学的なものへと進化させることができる、前向きなものだと発信を続けていきたいです。









