2026年3月11日号  終面 掲載

介護・障害ホームに投資 ケア難易度・ニーズの高さ注目 投資ファンドのエンデバー・ユナイテッド

2026年3月16日

投資ファンドのエンデバー・ユナイテッド(東京都千代田区)202512月、関西を拠点に高齢者と障害者が同一ホームで暮らす事業モデルを展開するCLAN(大阪市)に投資を開始した。社内体制の強化や拠点拡大で企業価値向上を目指す。中原慎一郎マネージングディレクターにインタビューした。

 

 

エンデバー・ユナイテッド 中原慎一郎マネージングディレクター

 

 

年間5棟ペースで拡大コンプライアンス強化

 

――投資の決め手は何でしたか

中原 CLANは、介護と障害福祉を融合した「ハイブリッドモデル」を確立しています。住宅型と介護付有料老人ホームには3割ほど障害者が入居し、知的・精神・身体など多様な障害に対応。入居している高齢者向けには訪問介護などのサービスを、障害者向けには居宅介護のみならず、生活介護も併せて提供している点が特徴的です。

 

児童発達支援や就労継続支援なども展開していますが、事業の柱は居住施設です。

 

重度の障害者を受け入れるモデルは参入障壁が高く、社会的意義も大きいです。収益面でも、障害者向けの居宅介護は高齢者に比べ多くのサービス提供量が見込めるため、安定性が高いと判断しました。

 

 

 

 

――障害分野の参入障壁が高いのはなぜでしょうか

中原 機械式入浴設備などの物理的整備に加え、障害特性に応じた個別性の高いケアが必要な点です。画一的なケアが志向されやすい高齢分野と比較しても、より個性に深く踏み込んだ上で、ライフステージに合わせた長期的支援が求められます。居住施設に加え生活介護などの通所サービスを一気通貫で整備し、地域で活動的に暮らせる環境を構築する必要があり、ノウハウは一朝一夕では得られないものです。

 

そして地域との信頼関係が強く求められます。利用者の家族は、ホームを選ぶ際「このホームに任せてよいのか」厳しく見ています。既存利用者からの紹介で入居を決めるケースも多く、地域での支援実績やブランド力が重要になります。CLANは特に大阪府で、居住系をはじめ生活介護や就労継続支援事業などを一連で展開しており、地域でのブランド力を構築できています。

 

 

――収益はどのように拡大していきますか

中原 既存施設で障害者比率を高めつつ、年間5棟程度のペースで新設を目指します。当面は大阪エリアなどブランドが定着した地域が中心。兵庫県や京都府では通所などのサービス網が未整備なため、生活介護事業所の新設から始め、信頼構築を優先し慎重に進めます。

 

 

――収益拡大のほか、バリューアップはどのような切り口で行いますか

中原 もともと同社の経営陣は稼働率や利益管理への意識が高く、重度利用者の方が多い中でも空室率を予測する体制を整え、稼働率95%を維持してきました。

 

当社が経営支援することで、ガバナンスを一段階ブラッシュアップし、コンプライアンスを強化できると考えています。加えて財務報告のレベルを上場企業の水準まで高め、持続可能な経営体制をつくり、企業価値の底上げを図ります。当社の人員が非常勤の取締役を務め、CFOとなる経営人材も外部から招聘する予定です。

 

採用も課題です。とりわけ入社後間もないスタッフの離職を抑えるため、より事業への適合度の高い人材採用に注力します。給与水準は業界相場より高い水準をオファーできており、処遇面での競争力は高いです。

 

 

――コンプライアンスに関して、昨今業界で注目を集めています

中原 最重要項目です。研修制度の充実や内部通報制度の浸透、内部監査の強化を図ります。特に昨年のホスピス住宅をめぐる不正請求問題を他山の石として、不正の端緒となるような小さな事案も見逃さず全社的に共有できる体制が必要です。

 

先行投資先である、ホスピス住宅を展開するスマイルナーシングの経験も大いに活かせます。両社の担当者間で経営上のリスク要因をタイムリーに共有するなど、どのような規制にも耐えうる企業体制を目指しています。

 

 

――業界の将来性をどう見ていますか

中原 一般的な介護は高齢者のピークアウトや報酬抑制で厳しさを増しますが、重度者に特化した障害・介護にまたがるモデルは別だと考えています。こうした人の居場所は目の前のニーズとして存在し、依然として課題です。

 

市場の健全化への意識が高まる中、CLANのように難易度の高さに正面から向き合い、誠実かつ組織的に対応できるプレイヤーへの期待はますます高まるでしょう。同社を業界の新たなスタンダードを構築するフロントランナーに育てていきたいと考えています。

 

 

 

 

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