【介護DX対談】介護就労者純減時代へ先手 40ホーム2000室に見守りシステム導入 チャーム・ケア・コーポレーション/エコナビスタ

2023年11月15日

 

チャーム・ケア・コーポレーション(大阪市)は介護DX推進課、DX推進室の2つの部署を設立し、DX化を進めている。見守りシステム、インカム、記録ソフトを有効活用し、業務負担軽減・ケアの質向上を実践。教育研修部副部長・介護DX推進課長の大野世光氏と教育研修部・介護DX推進課長代理の増澤良明氏、エコナビスタ(東京都千代田区)の杉嵜将茂取締役にICT機器運用・活用のポイントなどについて話を聞いた。

 

 

 

 

――DX化を推進する部署を設立した

大野 DX推進室と2022年7月に教育研修部内に新設した介護DX推進課でDX化を推進している。DX推進室は本社機能を含めた全社的推進、介護DX推進課は運営しているホームを担当。これまで教育研修部で研修やOJTなどを行っていたが、記録システムや見守りシステムなどを活用するようになり、機器を導入するだけでなく教育と連動していく必要があると考え、教育研修部内に介護DX推進課を設立した。介護DX推進課では、ホームと連携しながら、機器の選定から検証、活用までを支援している。導入後は各ホームにDX担当者を決めて、そのDX担当者が中心となり現場プロジェクトを主導。各ホームが目標を設定し1ヵ月に1回、全ホームのDX担当者と定例会議を行い、機器の活用状況や成功事例を共有しながらホーム全体のDX化を底上げしている。

 

杉嵜 当社のカスタマーサクセス部も定例会議などに同席し運用支援を行っている。6月に行われたチャーム・ケア社内の介護研究発表会においては、同社の役員から当社の提供する見守りシステム「ライフリズムナビ+Dr.」(以下・ライフリズムナビ)をはじめとするICT機器の活用事例をテーマに入れるように意見があったとのこと。役員から直接発信があることから、DX化に対する強い姿勢を感じた。

 

 

――睡眠に着目して夜間ケアの質を向上させた

増澤 介護現場において短期間でICT機器の効果を実感できるのは、夜間の安否確認となる。まずは見守りシステムを活用することで現場の業務負担を変えていく必要がある。ライフリズムナビを導入したことで夜間巡回の数が減少。当社が運営するホームは定員60名程度のものが多く、システム導入前は全室巡回していたが、導入後は約7割削減できた。夜間業務軽減に非常に効果的だ。

 
 見守りシステムを活用できるようになってくると、個別の事例から排泄介助・服薬の見直しにつなげることができるようになった。また、睡眠の質に注目するようになり、エアマットレスを採用し、褥瘡・転落防止、睡眠の質を上げることができた。また、吸収力の高いユニ・チャームの介護用おむつに統一することで、おむつ交換の頻度を減らし、おむつ介助業務も削減できるようになった。見守りシステムの導入がきっかけとなり、夜間のオムツ交換、安否確認、体位交換の回数が半分以上減少。改善した効果を睡眠の質などの数字として確認できるため、スタッフの自信にもつながっている。

 

杉嵜 エビデンスに基づいたケアの改善により、生産性向上やQOL向上などの取り組みが進められているため、見守りシステムがあることを前提とした業務に移行したといえる。組織としてDX化の構築・運用・定着を行っているからこそ実践できている。

 

 

ライフリズムナビ®+Dr.公式サイトはこちら
https://info.liferhythmnavi.com/

 

 

教育とICT活用を連動

――6月に開設した介護付有料老人ホーム「チャームスイート四谷」ではICT機器をスマートフォン1台に集約している
大野 これまでスタッフは、記録用のタブレット端末、ナースコール用のPHSに加えて除菌用のアルコールスプレーなどを所持。ショルダーバッグにタブレット端末、ネックストラップでPHSを携帯しながら業務を行っていた。働きやすい環境にするためICT機器はスマホ1台で対応できるようにしたいと考え、ナースコール機能と見守り機能を一元管理できるようにした。

 

チャームスイート四谷外観

 

 

 

杉嵜 ICT機器を活用できている事業者では「引き算の介護」が共通言語になり始めており、現在のオペレーションでなくせる業務を検討しながら、負担軽減・効率化を図っている。ライフリズムナビにはオプション機器として、スマホで使用できる「コールシステム」がある。スタッフのスマホには「ライフリズムナビ」「コールシステム」「インカム」のアプリを入れることで、ICT機器の管理をスマホ1台で行えるようにした。また、業務で外線電話を使用するスタッフには外線用のアプリも入れている。

 

 

 

チャームスイート四谷のDX化イメージ

 

 

客観的データに基づいた個別ケア提供

――新規ホームでのICT活用の教育は
大野 既存ホームのシステムを大きく入れ替えてしまうと、オペレーションが大きく変わるためスタッフのハレーションが起きてしまうことがあるが、新設のホームでは新規スタッフが多いことがメリットになる。チャームスイート四谷では新しいシステムを導入することになったので、現場スタッフとともにナースコールやエントランスのチャイムが鳴ったときの反応などを確認しながら、オペレーションを構築した。新規のスタッフはシステムを運用することがモチベーション向上になり、異動してきたスタッフも連携をスムーズにするために協力してくれた。既存ホームだと旧来のオペレーションに戻すという選択肢があるが、新設ではほかの選択肢がないので、今あるものを有効活用することを考えて行動してくれる。

 

杉嵜 ライフリズムナビを導入してから2年ほど経つが、導入時から定着・活用に力を入れていた。今回の導入時にカスタマーサクセス部が現場で研修を行った際、異動してきたスタッフより「前のホームでもライフリズムナビを活用していたので同様の使い方で業務をしたい」という声もあり、スムーズな運用体制を構築できた。また、異動してきたスタッフは導入時から、夜間の良眠を意識しているので、1つ進んだレベルでスタートできている。今後の新設を意識した、ICT化効率のオペレーションが上手く構築されていると思う。

 

ライフリズムナビ®+Dr.公式サイトはこちら
https://info.liferhythmnavi.com/

 

 

――ライフリズムナビの導入計画について
増澤 見守りシステム、インカム、記録システムを使いこなして生産性を上げることが目的となっている。インカム、記録システムは全施設に導入。ライフリズムナビはおよそ40棟2000台導入しており、今後既存ホームを中心に年間約800~1000台導入する計画を立てている。コストメリットがないと導入することが難しいが、特に夜間業務で効率化の有益なデータが出ているので今後は夜間配置の見直しも検討できる大規模ホームを中心に積極的に導入したい。

 

 

夜間配置見直し検討
――今後について
大野 取得した記録を有効活用し、利用者のQOL向上やスタッフのモチベーション向上に寄与したいと考えている。ベテランのスタッフは、食事量、睡眠の質、介護記録、ナースコールのログなどから経験則で、利用者の体調変化を予測することができる。介護、看護、生活相談員など各専門職の知見と、取得したデータを組み合わせることで、ケアの判断を正しく簡単にできるようにしたいと考えている。そうすることにより、記録したスタッフが記録の重要性を理解し、記録したくなるというイメージを持ってくれる。

 

杉嵜 チャームケアのDXの取り組みは他事業者のロールモデルになると思う。見守りシステムがサポートできる領域を拡大させるためにも、他施設でも水平展開できるように支援したい。また、介護DXを進めていくうえで、当初の目的は業務負担の軽減、夜間の巡視削減が多かったが事業者のニーズも変わってくる。目的を達成した施設が次に目指すところは、システムがケアの提案・助言をすることだと考えられる。実際に認知症の周辺症状を低減させるための活用方法など、スタッフだけではなく、利用者のメリットになる事例も出てきている。当社が活動を推進することが高齢者の生活にも寄与するので、事業者のニーズに素早く応えられるシステムを提供するために、現場のスタッフから使い勝手や要望などのヒアリングを重ねていきたい。

 

 

【ライフリズムナビ®+Dr.問い合わせフォーム】
ライフリズムナビ®+Dr.に関する問い合わせは下記フォームよりご連絡ください。
 
▶問い合わせフォームはこちら
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▶ライフリズムナビ®+Dr.公式サイトはこちら
 https://info.liferhythmnavi.com/

 

 

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