抗認知症薬 適量処方に前進 厚労省の通知受け団体コメント

2016年7月13日

厚生労働省は61日、抗認知症薬の規定量以下の投与を認める事務連絡を、国民健康保険団体連合会中央会と社会保険診療報酬支払基金に通知した。抗認知症薬の増量規定の撤廃を訴えている一般社団法人抗認知症薬の適量処方を実現する会(兵庫県尼崎市)の村瀬仁章理事に見解を聞いた。

 

 

――今回厚労省が通知を出すに至った経緯を教えてください

村瀬 本会理事の医師らの働きかけによる当時の民主党・大畠章宏議員の国会予算委員会における発言がきっかけです。現場の医師による判断で抗認知症薬を少量投与すると、診療報酬の支払いを認めない自治体があったことに対して問題提起をしたうえで国としての対応を求めました。

 

 

――少量投与が認められない理由を確認させてください

村瀬 認知症の進行を遅らせる十分な数値データが示されていないとするのが学会などの見解です。

 

これは治験の方法と現場のギャップが原因だと考えています。治験では比較的若く、認知症以外の病気でない対象者からデータを採取します。しかし実際の患者の多くは、体重が少なく疾患を複数持つ高齢者です。薬の感受性が高いため、治験で認められた用量では副作用が強く出てしまうのです。

 

 

――今回の通知は、認知症の薬物治療にどのような影響を及ぼすのでしょうか

村瀬 今回の通知は「一律の査定を控え、個々の症例に応じた医学的な診断」を呼びかけるものです。アリセプトを例にすると、3ミリグラムで投与を始め、その後5ミリグラムに切り替えるのが規定の使い方です。今回の通知により、3ミリグラムの継続投与はその医学的理由が配慮され、認められるようになるでしょう。

 

一方、臨床現場から、1ミリグラム投与など更に少ない量の投与が適切だとする事例も報告されていますが、今回の通知は少量投与そのものを認めるものではありません。

 

 

――今後の議論の方向性は

村瀬  学会や製薬メーカーから情報を入手する大多数の医師の間では、抗認知証薬を使いすぎると興奮や歩行障害などの副作用の出現に繋がるという認識は薄いと感じます。特に、精神科などは薬剤治療が中心であるため、症状が良くならなければ薬の増量という選択が基本になるケースが多いと聞きます。

 

患者の症状に合わせた薬物治療が広がるよう議論を深めていきます。

 

 

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