中銀インテグレーション(東京都中央区)渡辺蔵人社長

2014年7月1日

シニア向け分譲マンションの老舗、中銀インテグレーション(東京都中央区)が9月にサービス付き高齢者向け住宅(以下・サ付き住宅)に乗り出す。現在、シニア向けはマンション16棟、要介護・自立向け有料老人ホーム5棟(運営受託2棟含む)を運営する。蓄積したノウハウをサ付き住宅にも活かしていく。渡辺蔵人社長に話を聞いた。

 

『看護師常駐させ看取りまで対応』

 

──これまでは富裕層向けのシニア分譲マンションを始め、200室以上などの大型物件を手掛けてきた。

 

「今後も機を見て同様の開発は手掛けていく。当社はシニアマンションや老人ホームを運営しており、サ付き住宅は高齢者の住まいのラインアップの一つ。老人ホームだと費用負担が重く、また介護度が軽度な人は敬遠しがち。自立では難しく、かつ低額で入居できる住宅が必要だった」

 

――物件の概要は。

 

「木造2階建ての全20室。小田原駅から車で数分、交通の便も良く家族なども遊びにきやすい場所だ。居室は25平米以上とし、風呂・キッチン・トイレなどはすべて揃える。40平米以上も4室用意した(内2室は約48平米)。家賃・共益費・生活支援サービスを含め、25平米タイプは10万8000円から」
「ヘルパーは24時間体制、看護師は日中常駐だ。併設施設は訪問介護・デイ・居宅介護支援。徒歩3分の場所に市立病院もある。終の棲家として看取りまで対応できる体制を整えていく」

 

──既存自社物件からの入居を想定しているのか。

 

「もちろんそれは考えられる。これまでにもサ付き住宅のような低額で入居できる物件を当社で開発してほしいという要望は多かった。また昨年、熱海でデイサービスの運営を開始した。利用者数も順調に推移しており、こうしたルートを通じての入居相談もある」

 

『生活支援のための介護・医療重視』

 

──サ付き住宅の供給は衰えておらず競争は激しい。

 

「当社が高齢者の住まいとして重視しているのが、『生きがいのある生活』を提供すること。そのためにはアクティビティや施設内・外のコミュニティ形成などが重要だ。介護や医療を受けるために入居するのではなく、生活を楽しむための手助けとして介護・医療があると考えている。サ付き住宅であっても基本の考え方は変わらない。当社運営のシニアマンションや有老の入居者からは、『入居後の生活の方が充実している』といった声を多くいただいている。

 

──ここ数年開発を控えてきた。サ付き住宅を機に開発を加速させる考えは。

 

「サ付き住宅の数を追うことはしない。品質が担保できて初めて次の開発と考えている」
「全国を回り、人口減・超高齢社会においてはより一層多世代による地域交流が大切だと痛感した。そこで当社では年に一度、熱海市の親水公園を借りて地域住民にも参加してもらう祭を開催している。自社のコックが軽食を作って入居者が販売したり、地域住民はフリーマーケットなどを出店する。当社社員とその家族も参加し、約2000人の規模となった。活気があり市長にも喜んでもらっている。子どもから高齢者までが触れ合うこうした機会を、他の地域でもできればと考えている」

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