障害者雇用を推進 学研G内外で活躍 MCSハートフル
メディカル・ケア・サービス(さいたま市)の特例子会社、MCSハートフル(同)は、障害者の雇用を通じ、社会参加と自立支援を行っている。3月1日、学研グループとして初となる障害者グループホームを開設。生活支援までカバーしつつ、障害者の活躍の場を広げていく。

小松充社長
さいたま市にGH開設
同社及び同社の子会社で就労継続支援A型事業所を運営するMCSハートフルA(同)には現在約44名の障害者が所属。MCSハートフルでは高齢者施設の各種事務作業からWEB制作、MCSハートフルAでは施設清掃などの業務を受託している。清掃作業では専門的な知識も求められるエアコン清掃にも対応していることが特徴だ。
小松充社長は障害者を雇用することだけが目的ではなく「継続的に働き続けられるように、環境を整えることを大切にしています」と語る。同社は職場の仲間も同じく障害の当事者であるため、孤立感を感じにくい。「得意なことは活かしつつ、苦手なことにもチャレンジしてもらいます。そうして本人の成長を支援します」(小松社長)
障害者法定雇用率は今後、現状の2.3%から段階的に引き上げられ、2026年には2.7%となる。それに合わせて、同社は現在、障害者が活躍できる場をグループ内外に広げていくことで事業の成長を目指している。19年11月には中古車販売店で洗車請負事業を開始し、ノウハウを習得。現在は県内イオンモールの駐車場にて洗車サービスを提供するようになった。
「一般に、企業はCSRやSDGsの観点からも評価されるようになりました。障害者雇用について社会的な要求は高まる一方、ノウハウがなく、それができない企業も多くあります。当社の事業はそのニーズと上手くマッチングするのではないでしょうか」(小松社長)。

スマイルフルホーム春岡外観
生活面でも支援仕事の質高まる
3月に開設した障害者GH「スマイルフルホーム春岡」は、まずは同社の従業員の生活支援の一環として位置づけている。生活のリズムも整えることで仕事に向けた体調管理や精神面の安定につながる。また、同居人が仕事仲間であるため、安心感を得られやすい。なお、開設に至った背景には職員家族からの希望も大きかったという。
これまでは雇用を通じた社会参加や経済的自立のサポートを行ってきたが、障害者自身での生活環境の整備や、親亡き後の生活への課題が見えてきた。生活面での自立を支援することで、そういった課題に対応し、障害者のトータルサポートを行うことが同社の目指すところだという。
障害者GHの開設は、同社の事業の成長に合わせて開設を進めていく考え。23年中に、2棟目の開設も計画している。