人材紹介会社がシニア限定eスポーツ施設 利用者半数は友人紹介
人材紹介会社のISRパーソネル(神戸市)は、日本初のシニア限定(60歳以上)eスポーツ施設を同市で運営。eスポーツを通じたシニアの社会参加、健康寿命の延伸を目指している。将来的には、介護施設などでeスポーツを広める人材としてシニアに活躍してもらい、雇用創出につなげる狙いがある。

eスポーツに意欲的にチャレンジするシニアたち
2020年から開設しており、1コマ120分制。最初の90分はeスポーツを行い、残り30分はお茶を飲みながら利用者同士でコミュニケーションを楽しむ時間を設ける。1日に3コマ用意し、1コマにつき定員は6名。参加料金は1回1000円(税込)で、登録料や年会費は不要だ。
施設にはパソコンやイヤホン、ゲーミングチェアなどを完備しており、利用者は無料でアカウントを作れるパズルゲーム、バトルロイヤルゲームなどを楽しめる。
施設を始めた背景について、「人材紹介事業を通じ、退職後のシニアが社会的に孤立してしまうことに課題を抱いた」と梨本浩士代表員。「何もないところに人は集まらない。勝つと誰でも〝ヒーロー〟になれる力を持つのがeスポーツ。攻略方を教え合ったり、褒め合ったりすることがつながりを生む。社会参加を促して『共生社会』を作り、生きがいや健康づくりにつなげたい」
延べ利用登録者数は約220名で、月の平均稼働率は約70%。約半分の利用者が友人などの紹介で登録している。「登録料がなく、気軽に始められるため紹介が多いのではないか。スタッフが丁寧に教えることで初心者も安心してチャレンジできる」(梨本代表社員)。中には90代の利用者もいるという。今後2年以内に登録者400名を目指す。
予約はインターネットからではなく、あえて電話のみのアナログな方法にしている点もポイント。電話を通じてスタッフと利用者の会話を生み、来所意欲の向上や信頼関係の構築につなげている。
ISRパーソネル 梨本浩士代表社員
長期的にはシニアの「副業」を確立する計画。「人材紹介事業において、シニアが再就職先を探しても働く場が限られていることにも課題を感じていた」(梨本代表社員)。経験を積んだ利用者を介護施設などに派遣し、eスポーツの楽しさを広める人材として活躍してもらう構想だ。