入居者肖像写真を撮影 全国出張、「生前カメラマン」
カメラマンの小栗良介氏は「生前カメラマン」という肩書で、高齢者施設の入居者のポートレート写真を撮影する活動を行っている。小栗氏に活動の内容について話を聞いた。
――生前カメラマンとしてどのような活動を行っているのですか
小栗 高齢者施設などに出向き、入居者のポートレート写真を撮影します。撮影時間は1人10分程度で、ベッドから離床できる人であれば問題なく撮影できます。寝たきりの人でも臨機応変に対応していきます。
―― 反響はいかがでしょうか
小栗 7月に京都府の施設で撮影会を行った際には、写真に満足してもらえただけでなく写真をきっかけに施設の人々の間でコミュニケーションが生まれました。
撮影時には施設スタッフに付き添ってもらうのですが、施設スタッフが非常に楽しそうにしていたことも印象に残っています。良い表情を引き出すにはその人と施設スタッフとのコミュニケーション・関係性が重要になってきます。言わば施設スタッフにとって腕の見せ所でもあるわけです。そこにやりがいを見出してもらえたのだと思います。
――なぜこうした活動を始めたのでしょうか
小栗 元は白バイ隊員でしたが事故をきっかけにバイクを降りて、かねてから趣味であった写真の道に進むことを決心しました。都内で6年間修業し、2019年から本格的に仕事を受け始めました。白バイ隊員としてカメラマンとして、さまざまな人と接する中で、〝その人らしさ〞〝自分らしさ〞について意識を向けるようになりました。そうした折に実家で親族の遺影を見て、そこに自分のルーツが感じられたことに深い感銘を受けました。
しかし、現代ではしっかりとした遺影を撮るという人が少なくなっています。それが残念に思えたことがこの活動のきっかけになりました。
――今後の展開について教えてください
小栗 本格的なサービス展開はこれからです。費用感は撮影・レタッチ・プリント代込みで1人数千円、十数人単位の依頼から対応する考えです。介護保険外のサービスで、施設の特色づくりの一環としても活用できると思います。

7月に行われた撮影会の様子