2026年6月3日号 13面 掲載
紹介業の在り方議論、医療ソーシャルワーク学会で/NPO 法人大阪医療ソーシャルワーカー協会
NPO法人大阪医療ソーシャルワーカー協会(大阪市)が主催するイベント「第1回大阪医療ソーシャルワーク学会」が5月16日に大阪市内で開催された。当日は主催者発表でMSWなど362名が参加した。
ミスマッチ課題勉強会重ねる
冒頭の挨拶で藤井由記代大会長は「今回のイベントは医療ソーシャルワーカーにとって大切な『つなげる・広げる・支え合う』を自分たちから実践していこうと考えて企画した。何らかの学びを得て、日頃のソーシャルワークに活かしてもらいたい」とコメント。
その後は複数の会場に分かれてシンポジウムや講演、実践報告などが行われた。

開会式の様子
開会式に続いて第1会場で行われたのは、公益社団法人大阪介護支援専門員協会との共同企画シンポジウム「施設紹介業者との関わりと身寄りのない方への支援」。
「質の担保いかに図るか」「インフラとして認識を」
まず「行政の視点」として、今年3月まで大阪府福祉部 高齢介護室 介護支援課長を務めた木本和伸氏(現・厚生労働省大臣官房会計課 社会保障財政企画官)が「入居紹介事業に係る議論の最前線」と題して講演を行った。
木本氏は大阪府内の介護マーケットの特徴について「介護サービスが外付けの高齢者住宅の割合が高い」「介護給付費全体に占める割合の中で訪問介護が最も多い(注:全国では介護老人福祉施設が最も多く、訪問介護は4番目)」などと解説。また、個人的な意見と前置きをした上で、「紹介事業者については業界全体の底上げを図った上で『いかに上手に付き合うか』を考えていくことが重要になる。規制一辺倒ではなく、社会インフラとして位置付けていくための議論が必要なのではないか」とコメントした。
続いて登壇したのは、枚方市地域包括支援センターみどり所長で枚方ソーシャルワーク研究会の伊内康宏副会長。テーマは「個別ケースから始まる地域課題への取り組み~地域に根差したソーシャルワークの展開~」。
過去にMSW から「退院先については紹介事業者に一任している」と声があがったことに疑問を感じ、ミスマッチなどの防止を目的に、5年間にわたって地域ケア会議などで紹介事業に関する勉強会を重ねてきたことを報告。木本氏同様に「紹介事業を否定するのではなく『つなぐ専門家』として社会に既にある構造の一部として認識すべきだろう」と語った。
ケアマネの8割紹介業者を利用
大阪介護支援専門員協会の中辻朋博事務局長は「介護支援専門員の視点」と題し発表。ケアマネジャーの8割が自身の担当者の高齢者住宅入居に際して紹介事業者を利用したことがあると実態を報告。高齢者住宅の多様化や数の増加に対応しきれないことなどもあり、紹介事業の必要性は高まっている。その一方で、ミスマッチなどの問題も発生していると指摘。
「紹介事業者の質をどう担保していくか。『何をもって紹介とするのか』の定義づけをしっかりと行っていくことも必要なのではないか」と提言した。
最後に大阪医療ソーシャルワーカー協会理事長でもある藤井大会長が、いわゆる「不適切な入居紹介料」のメディア報道以降の協会としての対応・活動を「医療ソーシャルワーク実践に根ざした地域課題の可視化と協働の展開」と題して報告。紹介事業者の質の担保が難しいなどの課題を述べた一方で、「紹介事業者との連携を強化することでその解決は可能ではないか」と示唆。「紹介したからそれで終わり」ではなく、その後もしっかりとフォローする体制を構築していくことが重要になるだろうと締めくくった。その後は4名が意見交換を行った。
同協会では今後、2年に1回のペースで学会を開催していく考えだ。










