介護スタッフの夜間・休日対応の不安を軽減 高齢者施設の医療体制強化をサポート【ファストドクター】

2024年3月6日

多くの経営者が慢性的に職員の不足を感じている介護業界。介護事業者は海外人材の受け入れやICT活用、現場の魅力発信など、人材確保・定着のために日々奮闘している。このような介護現場の課題解決に向けて、医療の側面から支援しているのが、医療プラットフォームを運営しているファストドクター(東京都渋谷区)だ。医療機関と提携して高齢者施設の医療体制を強化する仕組みを構築した。24時間対応の医療体制を整備することで、介護職の離職防止、サービスの質向上に繋げていくという。法人事業部の小山翔部長に詳しく聞いた。

 

 

 

 

 

 

 

――コロナ禍以降、夜間・休日救急往診サービスへの注目が集まりましたが、改めて事業内容を教えてください
小山 「生活者の不安と医療者の負担をなくす」をミッションに掲げ、医師であり代表を務める菊池亮が2016年に創業しました。もともと一般の方を対象に、夜間・休日専門の救急往診サービスを軸に事業を展開してきました。過疎地域における医師不足、不要不急の救急車出動、医師のワークライフバランスの実現、新型コロナウイルス感染症拡大により逼迫した医療現場――当社はこのような医療にまつわる様々な社会課題を、テクノロジーの力で解決していくことを目指しています。

  
現在は、夜間・休日の救急往診サービスのほか、、自治体の医療課題に合わせてソリューションを提供する自治体支援、医療機関との連携により24時間365日の往診体制を構築する在宅医療支援を展開しており、創業以降、事業ドメインの拡大をしてきました。昨年より、この在宅医療支援事業において、介護事業者向けのサービスを強化しています。

 

 

 

 

――介護事業者の医療体制支援に着手した背景は
小山 介護業界においては、人手不足が深刻な問題となっています。介護職が離職する大きな要因の一つとして、高齢者施設での医療体制が十分に整っていないことが挙げられます。介護業界の有効求人倍率は全産業平均よりも高く、4.20倍(令和5年12月厚労省資料)と厳しい状況であることは周知の通りです。また、介護職の7割が夜勤に対して負担を感じていることが明らかとなっており、その理由としては特に、「長時間労働がつらい」「急変した利用者への対応が不安」の割合が高くなっています(2018年 全労連・介護労働実態報告集)。

 
一方、利用者視点からみると、「緊急対応」や「充実した医療・介護サービス」が高齢者施設での生活において、重要視されています。
以上のことから、利用者や求職者から選ばれる施設になるためには、夜間・休日対応を含む医療体制を強化することが急務だと考えています。

 

 

――介護施設に対するサービスの提供方法は
小山 介護事業者の協力医療機関とファストドクターが連携してサービスを提供するケースと、ファストドクターの提携医療機関を通じてサービスを提供するケース、2つの方法があります。
 前者は、主に地域の医療機関との連携を想定しています。医師を十分に確保できていない協力医療機関では、24時間のオンコール・往診体制を構築するには限界があります。当社と連携することで、負担になりがちな夜間・休日のオンコール対応や救急往診を無理なくワンストップで提供することが可能となります。地域の協力医療機関と二人三脚で補完関係を築きながら、より丁寧で持続可能な医療体制の構築を目指しています。

 
 後者は、協力医療機関が見つからない場合、または、なんらかの理由で一時的に対応が困難な場合に、ファストドクターの提携医療機関の医師が代診を行うものです。
往診後には、全患者から診察満足度を5段階で評価してもらいます。満足度を定量化し、往診医に個別にフィードバックすることで、クオリティを担保しています。

 

 

――ファストドクターのサポート内容を具体的に教えてください
小山 現場スタッフから弊社にお問い合わせいただくと、まず当社のオペレーターに繋がります。オペレーターが症状の詳細をヒアリングした後、消防庁の「緊急度判定プロトコル」をもとに医師がトリアージを行います。「赤:緊急(119要請)」「橙:準緊急(緊急受診が必要)」「黄:準緊急(早期受診が必要)」「緑:低緊急(経過観察)」の4段階のうち、準緊急だと判定された場合のみ、医師が往診に伺います。ファストドクターは、あくまでも「適切な受診行動を促すサービス」であり、「電話で依頼をすれば必ず医師が駆け付けるサービス」ではありません。

 

 

――病院以外での看取りが求められているなか、高齢者施設における医療ニーズに、どのように応えていくか。その解決のヒントになりそうです
小山 高齢者施設においては、発熱や頭痛、嘔吐・下痢・便秘、血圧低下、胃腸などの不調で入居者の様態が変化する度に、スタッフは正しい判断をしなければなりません。医療体制が十分に整っていなかったり、夜間対応ができるスタッフが不足したりしている場合、管理者が夜間のオンコールに対応せざるを得ない状況だと聞きます。このような状況では管理者に負荷がかかりすぎてしまい、離職を招いてしまいます。

 
弊社のような外部サービスと連携することで、緊急時でも確実に医師から正しい判断を確認できるため、夜勤への精神的不安を取り除くことができます。また、医療知識が乏しいスタッフでも1人で夜勤が可能となるため、シフトも組みやすくなります。

 
このように、夜間体制の強化によって、スタッフの離職防止、サービスの質向上、入居者満足度の向上といった好循環を生み出します。介護事業経営における課題解決のためにも、新たな選択肢として外部サービスを活用し、利用者にも職員にも選べる施設づくりを目指していただきたいです。

 

 

 

 

【お問い合わせ先】 
ファストドクター株式会社  https://www.fastdoctor.co.jp/contact

 

 

 

 

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