2026年8月12日号  11面 掲載

【川畑流福祉経営の教科書】費用を増やさずシフトを厚くする方法/人とくらしラボ 川畑誠志氏

2026年8月18日

 

前回は業務の流れや人員配置の見直しで、シフトを充実させる方法を紹介した。今回はさらに、ほかの経費適正化手法も紹介する。限りある経費を効率化し、いかに介護事業における人件費を確保するかが、今後の経営の最重要ポイントだ。

 

◎特養の夜勤と宿直

夜勤人数は、フロアの入居人数で大きな違いが出る。法定基準を超える配置の施設も多いだろう。夜勤1人あたりの費用は、短時間型で年間900万円以上、長時間型で1600万円以上。「夜勤1人増=日勤2〜4人増」だ。夜勤人数が減れば常勤の必要人数も減り、非常勤に置きかえれば、さらに人員配置は調整できる。

 

制度改正によって特養の宿直は不要になった。宿直をなくせば、介護人員を増やせる。

 

実現には代替手段の検討が重要だ。電話や来訪者対応、見守り機器導入、緊急時対応など、工夫して乗り越えよう。

 

◎デイの運転手・車両

デイサービスの送迎負担は、次期報酬改定の重要な論点だ。大変だからと専属ドライバーを雇用していないだろうか?

 

朝夕の短時間だけの依頼は難しく、5〜6時間勤務が多い。運転できる介護職員に置き換え、現場体制を厚くしたい。家族接点の機会は、顧客満足度を大きく左右する。

 

 

収益改善と人件費確保 同時に実現

 

介護職員が送迎を担う意義は大きいのだ。

 

また車両は、本体費用、保険、燃料、車検など、1台150万円ほどの年間費用がかかる。例えばグループ全体で事業所別に固定で40台あったとしても、常に駐車場に10〜20台停まっている。デイに5台あっても1日21時間は停めっぱなしだ。クラウド上で使用を予約制にして、車両を共用備品にすれば、台数を2割減らしても問題ない場合が多い。40台から7台減らして、車両経費1000万+ドライバー費用を削減するなど、成功事例も多い。

 

◎給食経費の効率化

給食費収入は1日1500〜2000円、収益総額の10%以上を占める。給食収支は20〜30%マイナスの場合が多く、全体利益を2〜3%も圧迫する。収入も支出も事業全体に溶け込んで、給食の赤字に気づいていない場合が多いのだ。

 

「美味しい食事で人気の施設」と自認する施設も多いが、私たちは飲食業ではない。ケア品質で評価されたいはずだ。

 

給食費用は大きく値上がりし、今までの努力の延長線上で解決しきれない。施設内調理以外の方法に転換すると、食材原価と人員配置のダブル改善が可能な場合がある。調理人員を多数配置する苦労も大きい。給食収支を±0にし、数%の収益改善を実現し、介護人件費を確保したい。

 

このように、収益改善と介護人件費確保を同時に実現する手段は、多数存在する。現行の報酬下でも、現場を良くしながら収益性を上げることは可能なのだ。

 

 

 

人とくらしラボ 川畑誠志代表取締役

日本福祉大学社会福祉学部卒業。社会福祉士。Human Life Group代表(介護福祉業界コンサル会社、福祉事業運営会社など4社経営)。「コンサルである前にソーシャルワーカー」「経営者である前に家族当事者」がモットー。業績向上、組織活性化、人材戦略、将来戦略、サービス共生化など多岐にわたる支援が強み。現場ワーカーと経営者の経験を活かし「制度じゃなく経営戦略を語る」ことが特徴。「日本一!予約が取れない福祉コンサル」と呼ばれ18社を支援中(202511月現在)。通算2003000事業所以上を経験。

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