2026年10月28日号 15面 掲載
高島平団地で農作業、チームオレンジの認知症の人が安心して暮らせるまちづくり
東京都福祉施設協議会(東京都新宿区)は9月から、都内の高齢者福祉施設などによる地域公益活動の周知を目的としたキャンペーン「つながれひろがれちいきの輪 in TOKYO」を展開している。10月中旬、福祉関係者らを対象に、東京都板橋区で活動する「チームオレンジ高島平(Orange Soup lounge)」の活動見学会を開催した。

参加者の集合写真
認知症について正しい知識と理解を持ち、認知症の人や家族を地域で支える「認知症サ
ポーター」。チームオレンジは、こうしたサポーターらが中心となり、認知症の人や家族
のニーズを地域での具体的な支援につなげる取り組みだ。認知症の人自身も活動に参加す
る。
チームオレンジ高島平では、高島平団地内の公園に設置されたレイズドベッド(地面より高い位置に栽培スペースを設けた花壇)で野菜などを栽培している。月1回、団地住民やボランティアらが集まり、農園の手入れを行う。作業後には、収穫した野菜などを使ったスープをその場で調理し、皆で食べる。参加費は100円で、誰でも参加できる。
農園は、板橋区、UR都市機構、東京都健康長寿医療センターの3者による連携協定の一環として設置された。高島平団地は1972年に入居が始まった総戸数1万戸超の大規模団地。近年は高齢化率が40%を超え、住民の孤立などが課題となっている。
高島平団地を研究拠点とする東京都健康長寿医療センター研究所の宇良千秋研究員は、「農園での作業は『役割』が生まれやすい。役割があることで地域活動に消極的な人も参加しやすく、新たな仲間をつくる機会となっている」と説明。「こうしたつながりがあれば、認知症になっても地域で暮らし続けられる可能性が高まる」と話す。
宇良研究員によると、団地内には認知症が疑われる状態にありながら、医療機関を受診していない高齢者も多いという。農園は、福祉の専門職が支援を必要とする住民と接点を持つアウトリーチの場にもなっている。日常的な会話を通じて生活上の困りごとを把握し、必要な支援につなげるきっかけとなる。
チームオレンジ高島平のメンバーで、特別養護老人ホーム「ケアポート板橋」の宇津木忠施設長は、「認知症の『0次療法』ともいえるこのモデルを、ほかの団地にも広めていきたい」と語った。










