
認知症の進行で転居を要請されて有料老人ホームから特養へ
施設や住まいによっては、認知症が進行すると転居を求められることも。症状が進んでからの転居は大変なので、「どんな症状まで対応できるか」を確認しておきましょう。
老人ホームから転居を要請される
宮本浩二さん(41歳)は、早くに母を亡くし、父・正雄さん(72歳)と実家で暮らしてきました。しかし、正雄さんが70歳を過ぎたころにアルツハイマー型認知症となり、浩二さんひとりでは介護ができないことから、要介護1のときに認知症でも入居できるという安価な住宅型有料老人ホームに入居しました。
当初は老人ホームで穏やかに暮らしていた正雄さんでしたが、半年ほど前から急に症状が進み、深夜の徘徊や部屋を間違えるなどの混乱がみられるように。要介護度も3に上がりました。このため老人ホームからは、「これ以上、認知症が進むと対応できないため、速やかに他の施設に移ってほしい」と転居を要請されています。しかし、父がこんな状態になってから転居先をどう探したら良いのかわからず、資金にも余裕がないため頭を抱えています……。
有料老人ホームから特養へ…が選択肢
正雄さんについては、特別養護老人ホームが有料老人ホームからの住み替え先の選択肢となります。しかし特養には待機者が多いので、まず入所申し込みをしておき、その間、次善の策を検討しましょう。
たとえば資金的に民間施設への入居が厳しい場合は、浩二さんが賃貸マンションなどへ転居し、実家を売却することで資金を作るなどして、グループホームか重度の認知症に対応できる有料老人ホームなどに転居するという方法が考えられます。
重度の認知症で施設を選ぶ場合は、玄関などのセキュリティが万全か、24時間の見守り・介護体制があるか、入居するフロアにスタッフが常駐しているか、認知症ケアの知識・経験が豊富か、認知症ケアに積極的に取り組んでいるか、などの点をクリアできることが条件となります。
認知症が進行してから、受け入れ可能な施設や住まいを探すのは大変ですので、症状の進行を想定して、重度まで対応できるところを選んでおくと安心です。
ポイント
● 父(正雄さん)の認知症の症状は進んでいる
● 施設からは、速やかな退去を要請されている
● 息子(浩二さん)は実家を所有している
● 重度の認知症の受け入れ先を探すのは難しい
対応策
1.特養が住み替え先の選択肢となる
2.実家を売却して資金を用意して、民間施設を検討する
3.住み替え先の認知
出典:岡本弘子『高齢者施設の費用・選び方・手続きのすべて』ナツメ社
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