認知症の自覚のない母を、どう説得する?
田中秀幸さん(52歳)、友子さん(48歳)夫婦は、秀幸さんの母・真知子さん(79歳)と同居しています。これまで元気で、家事を担いながら共働きの息子夫婦を支えてきた真知子さん。体は今も元気なのですが、最近急に物忘れがひどくなり、医師の診察を受けると初期の認知症と診断されました。
息子夫婦は2人とも、フルタイムで働く会社員のため、自宅で認知症の真知子さんをケアしながら暮らすことは厳しい状況です。そこで、認知症が進んで大きな問題が生じる前に、真知子さんを施設へ入居させたいと考えました。ところが、真知子さん本人には、自分が認知症だという自覚がなく、体も元気だからと入居を拒否しています……。
どうすれば解決できる?
まずは入居拒否への対応がスムーズな、経験豊かなグループホーム、認知症ケアが信頼できる介護型の有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅を探してみましょう。
認知症の高齢者が、自分が認知症であるという自覚(病識)がないのは当然です。そこで、「安心できる」「今より負担が減る」「楽しく暮らせる」など、認知症対策以外の理由で、入居を説得してみましょう。また、多くの場合、高齢者は施設に暗いイメージを抱いているので、本人の理解能力に期待ができる場合は、一緒に現地を何度も訪ね、実際の生活状況を見たり感じたりして、馴染んでもらうと良いでしょう。
入居に対する理解力が期待できない場合、「家族が入院する」「仕事で長期不在」といった理由(口実)で納得してもらい、まず限られた期間だけ短期入所するという形で進めることも、ひとつの方法です。
認知症で入居拒否があっても、心地よく安心な環境に一定期間暮らし、スタッフとも良好な関係ができてくると、そこが自分の住処という認識が生まれ、入居を継続できるようになるのです。